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Lito(リト)について
コンセプト
「Lito」では、発酵技術とイタリアンのエッセンスを取り入れた繊細な料理が提供されています。酸味のバランスが絶妙で、食材本来の旨味を引き出す工夫が随所に感じられます。また、料理人でありソムリエでもある窪田シェフは、料理とワインのペアリングにもこだわりを持ち、全国各地から選りすぐりの食材と器を取り入れています。
窪田理人シェフ
料理人の父の背中を見て育ち、自然とこの道へ。
イタリア各地での修業のなかでも、アマルフィで培った地中海的な感性は、現在の料理にも静かに息づいています。
帰国後は軽井沢「Naz」の立ち上げに参加し、発酵を軸に据えたモダンイタリアンに深く関わる。
Nazのシェフとはイタリア時代からの旧知の仲で、発酵と酸味のバランスにおける確かな技術を共有。
その後、ソムリエ資格を取得し、「料理人でありソムリエである自分にしかできないペアリング」を目指し、名古屋に自身の店「Lito」を開店。
選び抜いた器とともに、香り、酸味、余韻までを設計するような一皿を届けています。
ジャンルや技法に縛られず、料理を通して“今の名古屋”を静かに更新していく存在です。
レストランの評価
2023年11月のオープン以来、注目を集めています。特に、2025年には食べログの「イタリアン EAST 百名店」に選出されるなど、その実力が評価されており、名古屋の食シーンに新たな風を吹き込む存在として注目されています。
ダイニングプレリュード
外観・エントランス
「Lito」は、ビルの2階に位置しています。ビルの外観はシンプルでありながら、洗練された雰囲気を醸し出しています。特に、エントランスに設置された「Lito」のサインプレートは、控えめながらも存在感があり、訪れる人々の期待感を高めます
エントランスは、温かみのある照明と質感のある壁面が特徴で、落ち着いた雰囲気を演出しています。シンプルながらも上質なデザインが、これから始まる食の体験への期待を高めてくれます。
ダイニングスペース
温かみのある木材と落ち着いた色調で統一された空間は、シンプルながらも洗練された雰囲気を醸し出しています。
全15席で構成されており、カウンター5席、テーブル10席が用意されています。
カウンター席からは、シェフの調理風景を間近で楽しむことができ、料理の香りや音を五感で感じられる特別な体験が提供されています。
全国の作家による器が使用されており、料理との調和を大切にした美しいプレゼンテーションが特徴です。
メニュープレゼンテーション
「Lito」のメニュープレゼンテーションには、この店らしい静けさと美意識が宿っている。
和紙のような風合いの縦長の紙に、一品ごとに食材名だけを一語ずつ記した構成。
「苺」「コーチン」「御島鯛」「愛知牛」——食材だけをそっと並べることで、料理への想像がふくらみ、提供時の驚きや感動をより引き立てる。
テーブルに置かれた白いナプキンと、素地のプレートとの組み合わせも印象的で、過剰に語らずとも美しさが伝わる静謐なセッティング。
最後にそっと添えられた「Lito 2025 spring」の文字が、四季の移ろいとともに変化する料理への敬意を感じさせる。
すべてが「余白」と「間」で魅せる設計。
料理を出す前から、すでにこの店の哲学は始まっている。
スタータードリンク
スターターとして選んだのは、COEDOビール「白 -Shiro-」。
ヴァイツェン特有のまろやかな甘みと、ほんのりとしたバナナ香。泡立ちも美しく、ワイングラスでサーブされることで、より香りが立ち上がり、料理の幕開けにふさわしい一杯に。
Litoの洗練されたカウンターに、やさしい酵母の香りがふわりと広がる——
この一口目から、物語が静かに始まります。
実際に味わった料理
苺
コースの幕開けは、愛知の「夢のか」という品種のいちごを使ったひと皿から。
セミドライのいちごを土台に、まろやかな酸味をもつフロマージュブランが隠れ、周囲にはフレッシュないちごを配置。
さらに、発酵させたいちごのソースが全体を包み込み、ひと口ごとに香りと甘さ、酸味がほどけていくような構成。
見た目は軽やかに、味わいは複雑に。最初から印象に残る一品でした。
コーチン
続く一皿は、名古屋コーチンを包んだラビオリ。
中には刻んだ発酵白菜が忍ばせてあり、旨味に食感とほのかな酸味を重ねてくれる。
スープは、生ハムから2時間かけて丁寧に旨味を抽出した出汁をベースに。
そこへ桑名の筍を加え、香りのアクセントとして木の芽と木の芽オイルを添えて。
まろやかで繊細、それでいて輪郭のある味わい。
香り、旨み、酸のレイヤーが美しく重なった一皿でした。
ラビオリの余韻が残るタイミングでグラスに注がれたのは、
「BRASSHOPPER 2023」 from COCO FARM & WINERY(栃木)。
青々とした草原を思わせるラベル通り、ハーブや柑橘の香りにほんのりとした還元香が混じるナチュラルな一本。
次の一皿、槍烏賊の火入れと発酵の酸に寄り添うように、口の中をリセットしつつ香りをつなぐ。
槍烏賊
香ばしく焼き上げたヤリイカのひと皿。
グリル板で焼きつけて香りを引き出したイカに、煮込みとソテー、2種の菜の花を添えて、青い香りとほろ苦さを重ねる構成。
黄身酢ベースのソースは、菜の花の辛子マヨネーズのような立ち位置で、やさしく全体を包み込む。
発酵させた金柑を刻んで添え、柑橘のニュアンスと酸味がアクセントに。
仕上げにあしらわれたマイクロディルが、春らしい爽やかさをそっと添えていました。
甘海老
印象に残った一皿が、素麺をパスタに見立てた冷製仕立て。
使用しているのは、香川・小豆島のもちもちとした食感が魅力の素麺。
トップには、昆布のオイルでマリネした甘海老と、ほんのり酸味を含むハイビスカスの蕾。
仕上げには、トマトを絞って発酵させたソースをひとさじ。
このソースは、シェフが手がけた軽井沢「Naz」のスペシャリテ、サーモンの皿でも使われていた特別なもの。
和の素材を用いながら、構成と味わいは完全にイタリアン。
Litoらしいセンスが光る一皿でした。
カスベ(エイ)のフリットに合わせて注がれたのは、
PASSO GIGANTE “Loureiro” — ポルトガル・ヴィーニョ・ヴェルデ地方の白ワイン。
カスベ
続いては、カスベ(エイのヒレ)を使ったフリット。
250度ほどの高温の油でカリッと揚げ、外は香ばしく、中はしっとりと。
上には、発酵キャベツとマスタードを合わせたタルタル風のソースを重ね、さらにフレッシュの甘夏で酸味と爽やかさをプラス。
添えられたキャベツのソテーには春の香りがふわりと。
仕上げには、一度発酵させてから凝縮乾燥させた発酵キャベツのパウダー。
凝縮された旨味とほろ苦さ、香りが加わり、印象に深く残る一皿でした。
平貝
三河湾の平貝を使ったリゾット。
お米は、岐阜・飛騨の大粒米「龍の瞳」。旨みを吸い込んでもしっかり粒が立ち、もちもちとした食感が印象的。
中にはトマトの干しものを忍ばせて、凝縮された甘みと酸味をアクセントに。
仕上げには、桜の花と葉の塩漬けを添え、ほんのりと春の香りをまとわせている。
和の要素を静かに重ねた、季節を感じる一皿でした。
コースの途中、ふとこちらから発酵について尋ねたところ、
窪田シェフがカウンター越しに見せてくれたのが、この発酵中のトマトとキャベツ。
Nazで学んだ発酵の技術は、Litoにおいて料理の核であることが伝わってくる瞬間。
メインに合わせてサーブされた赤ワインは、
Poderi Sanguineto I e II — Vino Nobile di Montepulciano Riserva 2019(トスカーナ)。
愛知牛
メインは、愛知牛のヒレ肉。
柔らかく、しっとりと火入れされた赤身は、ひと口でその完成度にうなる一品。
表面には黒にんにくと発酵ブルーベリーを塗り重ねてロースト。
仕上げに藁で燻し香りをまとわせ、香ばしさとほのかな果実味が余韻を残します。
下には、焦がしバターでソテーした春菊。
そしてもうひとつ、蕗のとうを加えたじゃがいものピュレが敷かれ、苦みと甘みのバランスが美しい。
最後にかけられたソースは、牛の骨と筋からじっくり引いた、旨みが凝縮された深い味わい。
主役の肉、添えの香味、そしてソースの構成まで。
それぞれが際立ちつつ、静かに調和した力強い一皿でした。
添えられた自家製パンは、高加水のもの。粉よりも水分量が多く、もちっとした独特の食感が特徴的。ソースをきれいにすくい取ってくれる理想的な構造で、ただの添えではない存在感。これを日々焼き上げるのはきっと大変だろうな…と思うほど、完成度の高いパンでした。
楚蟹
打ちたてのタリオリーニは、卵白をやや多めに練り込むことで、もちっとした独特の食感に。
合わせるのはズワイガニと、発酵させたレタス。
そこへ蟹酢と卵のソースをかけて仕上げた一皿は、どこか“カニ玉”を思わせる構成。
和の記憶をイタリアンに落とし込んだような、不思議な親しみと新鮮さが同居するパスタでした。
デザート & フィナーレ
アマゾンカカオ
締めくくりは、アマゾンカカオを使ったデザート。
テーブルに運ばれてきたのは、大きなアマゾンカカオのブロック。
その場で削りかけられた香り高いチョコレートは、濃縮ミルクのアイスと共に。
華やかな酸味のフランボワーズソースに、果糖のみで固めた薄く美しい飴を添えて。
さらにカカオニブが散らされ、食感とビターな余韻を重ねる。
削りたての香り、温度、酸味と甘みのバランス。
一皿でアマゾンの力強さと繊細さを感じる、記憶に残る締めでした。
ヘーゼルナッツ
最後に供されたのは、焼きたてのフィナンシェ。
高温でしっかりと焼き上げられた外側は香ばしく、中はしっとり。
コースの余韻をやさしく締めくくる、シンプルながら記憶に残るひと品。
これ、販売してくれたら確実に買って帰りたい…そんな美味しさでした。
まとめと感想
発酵というアプローチを軸に、酸味のバランスで魅せるLitoの料理。
どの皿も軽やかで、重たさを感じさせない構成が心地よく、最後まで食欲が続く流れ。
味わいはもちろん、シェフを中心にチームで一皿一皿を仕上げていく姿も印象的で、空気感まで美味しい時間でした。
仕込み中の発酵食材を見せてもらったのも面白く、記憶に残るひととき。
センス、構成、温度、すべてが好みに刺さる内容で、個人的にもかなり好きなお店です。
予約とアクセス情報
予約は以下の方法で可能です:
- 完全予約制
当日予約は不可のため、必ず事前に予約を。
アレルギーや苦手食材の有無も、予約時に申告が必要です。 -
公式予約サイト(TableCheck)
※コースの選択と人数を指定して事前決済 or 当日支払いで予約可
アクセス情報
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住所
愛知県名古屋市東区泉1丁目17-3 第二オレンジ久屋ビル 2F -
最寄駅
地下鉄名城線「久屋大通駅」より徒歩5分
地下鉄桜通線「高岳駅」より徒歩5〜6分 -
営業時間
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Lunch:12:00〜(金・土・日曜のみ営業)
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Dinner:18:00〜 一斉スタート
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定休日
月曜日+不定休あり(公式インスタで要確認)
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