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金沢 Michelin2つ星の旅 プロローグ
四季の移ろいを繊細に映す料理と、土地の風土が香る器や空間。
そんな美食の奥深さを求めて、向かったのは北陸・金沢。
加賀百万石の文化が今も息づくこの街には、全国から食通が足を運ぶ名店が点在し、その中でもひときわ存在感を放つのが、ミシュラン二つ星を獲得する実力派たち。
今回の旅では、そんな金沢の2つ星レストランを中心に巡り、食材の背景や料理人の哲学に触れながら、ひと皿ひと皿を味わってきました。
旅の始まりにふさわしく、胸が高鳴る一軒目。
まずはその全貌からご紹介していきます。
DAY1|福岡空港から小松空港へ
北陸・金沢、ミシュラン2つ星を巡る美食旅。
その始まりは、福岡空港から。
この日利用したのは、ORC(オリエンタルエアブリッジ)運航によるANA便。
プロペラ機・DHC8-Q400での空の旅は、ゆったりと低空を進むぶん、窓からの風景も一層近く感じられます。
都市の喧騒から徐々に離れ、北陸の空気へと切り替わっていく時間そのものが、すでに旅の一部。
小松空港に到着すると、ローカル空港ならではの温かな雰囲気と「ようこそ小松空港へ」の文字が出迎えてくれました。
加賀伝統の工芸品をモチーフにした装飾もあり、早くも金沢らしさを感じる空間です。
このあとは、金沢市内へ移動し、初日の2つ星レストランへ。
まずはその一軒目から、コース料理の魅力をひと皿ずつ綴っていきます。
小松空港から金沢駅へ
空港に到着後は、リムジンバスで金沢駅西口へ。
乗り場は1番、案内もわかりやすく、迷うことはありません。
のどかな景色を眺めながら走ること約40分。
約4年ぶりの金沢。
バスが街に近づくにつれて、前回訪れたときの記憶がふと蘇り、懐かしさと期待が交差します。
そんな気持ちを胸に、今回の旅がいよいよ本格的に始まります。
金沢駅に到着、そして早速のハプニング
金沢駅に到着し、まずは構内を歩いてホテル方面へ。
約4年ぶりの金沢の風景に心が浮き立ち、少し浮かれ気味だったのかもしれません。
ふとした瞬間に――
「あれ、キャリーバッグがない。」
なんと、リムジンバスの荷物置き場にキャリーを置いたまま駅ナカを半分ほど進んでしまっていたのでした。
慌てて来た道を引き返し、バスの乗り場まで戻ってみると、ちょうどそのタイミングでバスが戻ってきたところ。
運転手さんが気づいてくださって、無事に回収することができました。
ほんの数分のことでしたが、血の気が引くような感覚。
何事もなかったからこそ笑えるものの、いつか大事になりそうで怖い。
旅先での荷物管理、皆さんもくれぐれもお気をつけて。
気を取り直して、駅東口の「鼓門」へ。
堂々とした姿は何度見ても旅の気分を盛り上げてくれます。
写真を一枚撮ったあと、駅前からバスに乗り、宿泊予定のホテルへ。
チェックインにはまだ早い時間だったため、荷物だけ預けて一息。
ここからいよいよ、今回の旅の本題——金沢の美食を巡る時間が始まります。
三井ガーデンホテル金沢へ
駅からバスに乗って数分。宿泊先は「三井ガーデンホテル金沢」。
木の温もりとモダンな設計が心地よく調和したエントランスには、加賀の文化を感じさせる装飾がさりげなく配されていて、旅のテンションが静かに高まっていきます。
ロビーには、季節を映した七夕飾りや鹿のオブジェも。
こうしたディテールに、土地との繋がりやおもてなしの心を感じます。
チェックイン前だったので、荷物だけ預けて街歩きの準備を。
ランチまでのひととき
ホテルに荷物を預けてから、ランチまでは少し時間があったので、近江町市場近くのスターバックスへ。
冷房の効いた店内で、アイスコーヒーを片手に旅の予定の再確認と、ちょっとした仕事をこなすひととき。
観光客や地元の人が行き交う様子を眺めながら、気持ちのスイッチを旅と日常の間でゆるやかに切り替えます。
その後、スタバを出てすぐの近江町市場バス停から、ランチに向けて出発。
バス停のそばには「氷室の日」にちなんだ雪が飾られていて、ちょっとした季節の風物詩に出会えたのも嬉しいサプライズ。
加賀藩の時代から続く風習が、こうして今も街の中に息づいている——
金沢らしい情緒に触れつつ、いよいよこの旅最初のミシュラン二つ星レストランへと向かいます。
ランチは「天ぷら 小泉」へ
近江町市場からバスに揺られてたどり着いたのは、ミシュラン二つ星を獲得する名店「天ぷら 小泉」。
金沢の中心地から少し離れた、静かな住宅街の一角にひっそりと佇む一軒です。
石垣と木々に囲まれた趣ある玄関、凛とした空気をまとった藍色の暖簾。
その佇まいはどこか料亭のようでもあり、これから始まる特別な時間を予感させます。
料理の詳細や、印象に残ったひと皿などについては、以下のブログ記事にてじっくりご紹介しています。
- ADDRESS
所在地:石川県金沢市池田町4丁目34(旧片町エリアの静かな裏通り)
最寄駅:北陸鉄道石川線「野町駅」より徒歩約15分
- OPEN
昼の部:12:00〜(完全予約制)
夜の部:18:00〜、ラストインは20:00
休業日:不定休(日曜日休とする情報もあり)
- CONTACT
076‑223‑0023
- AWARD
ミシュラン2つ星獲得:石川県内でも希少な天ぷら専門での高評価
食べログ “天ぷら百名店 2025” 選出
- COMMENT
- コースと価格帯
ランチおまかせコース:13,200円〜(税込、サービス料別)
ディナーおまかせコース:15,400円〜、あるいは22,000円〜(税込、サービス料別)
予約制の特徴:カウンター席のみ(席数は約7〜9席)で、お子様は未就学児不可。1ヶ月先まで予約可、キャンセルや人数変更は厳格に制限あり
ランチのあとはホテルで休息
「天ぷら 小泉」で贅沢な昼食を堪能したあとは、いったんホテルに戻ってチェックイン。
落ち着いた客室で、しばしの休息と、少しだけ仕事の時間を。
旅先でも日常のタスクは待ってくれないけれど、静かなホテルの空間で過ごす時間はむしろ集中できる不思議な心地よさがあります。
しっかりと整えて、再びお腹と心を整えたら、夜の準備を。
ディナーの時間が近づき、バスに乗って向かったのは——
夜の二つ星、日本料理「片折」へ
この夜の目的地は、金沢を代表するミシュラン二つ星の日本料理店「片折」。
犀川のほとり、風情ある街並みに静かに溶け込むように佇む一軒です。
控えめな外観に掲げられた「片折」の二文字が印象的で、
この扉の先に、料理人の研ぎ澄まされた感性と、旬を極めた日本料理が待っている——そんな期待を自然と抱かせてくれます。
料理の内容や印象に残ったひと皿については、以下のブログ記事で詳しくご紹介しています。
片折の余韻に浸りながら、夜のBAR「々」へ
片折で味わった日本料理の余韻を胸に、犀川沿いを少し歩いたあと、タクシーで向かったのは片町のディープスポット「やきとり横丁」。
赤提灯が並ぶこの横丁の一角に、BAR「々(ノマ)」はひっそりと暖簾を掲げています。
狭い路地を抜け、かすかに灯る柔らかな光に導かれるように扉を開けると、
コンクリート壁に整然と並ぶ酒瓶とグラスたちが静かに迎えてくれます。
無駄を削ぎ落としたようなミニマルな空間。
グラスを傾けながら過ごす静かな時間は、料理の余韻をゆっくりと咀嚼するのにぴったりの場所でした。
ここは日替わりでバーテンダーが立つスタイル。
訪れるたびに異なる空気が流れ、その日、その夜だけの“ノマ”が味わえるのも魅力です。
この日は2杯のソーダ割りをいただきました。
ひとつは、IWSC2023で金賞を受賞したクラフトジン「HACHIBAN」のソーダ割り。
ジュニパーや山椒、シナモンなどのボタニカルが重層的に香りながらも、口あたりは驚くほど軽やか。
しかもボトルは、アートディレクター・秋山具義さんによる“ノマ”の手書きロゴ入り。細部にまでお店のセンスが行き届いています。
もうひとつは、和歌山発のスパイス梅酒「星子」。 オリジナル配合のクローブやカルダモンがほんのり香り、梅の甘みを引き立てながら、どこか涼やかな余韻を残します。 派手さはないけれど、静かに印象を残す──そんな味わいでした。
この夜カウンターに立っていたのは、南インドまでミールスを食べに行くほどスパイスに魅せられたモモさん。
不定期で間借りミールスも提供されているそうで、話を聞くだけでも胸が高鳴る時間。 さらに「ちょうどお詣りに行ってきたんですよ」と、氷室の日に買ってきた氷室饅頭をそっと出してくれるという粋な計らいも。
思いがけず、季節と人と味が交差するようなひととき。 《ノマ》は、そういう偶然を自然に受けとめてくれる、懐の深い場所でした。
金沢の夜を締めくくる、昔ながらの一杯
旅の一日の終わりに選んだのは、三和商店街の中ほどに佇む老舗「中華そば処 万味」。
昭和45年創業のこの店を訪れるのは今回が初めて。
この日も店内は満席。外でしばらく待ってから、カウンターへ。
食券機でチャーシューメンを選び、赤いカウンターに座って待つ時間さえも、どこか心地よい。
目の前に運ばれてきたのは、まさに“これぞ中華そば”という佇まいの一杯。
澄んだスープには地元産醤油のコクがあり、噛むほどに旨味が染み出すチャーシューがたっぷり。
シンプルながら、最後の一滴まで箸とレンゲが止まらなくなるような味でした。
深夜1時まで営業というのもありがたく、もし金沢に住んでいたら、きっと何度も通ってしまうはず。
人気のお土産チャーシューも、次回の楽しみに取っておきたくなるほどの存在感でした。
こうして、美食と出会いに満ちた金沢・二つ星の一日目は、昔ながらの一杯とともに静かに幕を閉じました。
DAY2|近江町市場「もりもり寿し」で朝から寿司三昧
二日目の朝は、この日から合流する妻を金沢駅・鼓門前でお出迎え。
再会の笑顔とともに始まる、久しぶりのふたり旅。少し歩いて向かったのは、活気あふれる近江町市場。
朝ごはんは市場内の人気回転寿司店、「もりもり寿し 近江町店」へ。
この時間帯でも既にお客さんで賑わっており、カウンターには色とりどりの皿が並びます。
この日いただいたのは、のどぐろ、甘えび、がすえび、白えび、真鯛、炙りの盛り合わせ、そして蟹の味噌汁。
金沢ならではの地物ネタがそろい、朝からしっかり満足度の高い内容。
とくに白えびの軍艦と、香ばしく炙られた魚の握りは、早朝の胃にじんわりと染みわたるような美味しさでした。
朝の市場の喧騒と、寿司の満足感。ふたりでの金沢2日目は、“回転寿司で始まる贅沢な朝”からのスタートとなりました。
念願ののどぐろ炙り丼を求めて
朝ご飯を軽めに済ませた後は、近江町市場の「鮨 歴々」で念願ののどぐろ炙り丼を食べようとオープンを待っていたのですが、なんとこの日に限ってまさかのお休み。
それでもどうしても食べたくて、わざわざ金沢駅まで移動し、駅構内の店舗へ向かいました。
駅店でも無事にのどぐろ炙り丼にありつけてひと安心。
ふわっと香ばしく炙られたのどぐろの脂が、温玉や薬味と合わさってご飯に絡む、間違いない美味しさです。
さらに、もちがつお、柳さわら、がす海老の3貫を単品で追加。
どれもその日のおすすめだけあって、ネタの質・仕事ともに抜群。
妻は「料理長厳選握り(12貫)」をオーダー。ひと皿ずつ丁寧に供される握りを楽しみながら、朝からしっかり満たされるお鮨時間となりました。
しっかり食べて、金沢観光スタート
のどぐろ炙り丼と握り鮨でしっかりお腹を満たしたあとは、金沢市内を少し歩いて観光へ。
まず訪れたのは、加賀藩祖・前田利家公とその正室・お松の方を祀る「尾山神社」。
訪れてまず目を奪われるのが、なんといってもその「神門」。明治8年に建てられたもので、和・漢・洋の様式が融合した珍しい構造です。
特に上層部にはステンドグラスがはめ込まれており、昼と夜で異なる表情を見せてくれるのが印象的。洋風建築の影響を色濃く受けていながらも、境内全体はどこか静謐で、歴史の重みと優雅さが漂う空間です。
神門の上は、かつて金沢の海側を監視する灯台としても使われていたそうで、その用途の多様さにも驚かされます。
境内には金箔を模したモニュメントや、蓮をモチーフにしたモダンなオブジェもあり、伝統と現代が共存する不思議な居心地のよさがありました。
現代建築が調和する“授与所”と、金運上昇の御守り
もうひとつ特筆したいのが、境内に佇む授与所。2015年に新設されたこの授与所は、ガラス張りの洗練されたデザインで、まるでギャラリーのよう。
周囲の自然や歴史的建築と違和感なく溶け込みながらも、凛とした存在感を放っています。
中では御朱印やお守りが授与されるだけでなく、尾山神社の歴史を紹介するサイネージも設置され、静かに、でも確かに学びと癒しの空間が演出されています。
この日いただいたのは、金運アップの御守り。ガラス越しに見える新緑を背に手に取るそのひとときが、なんだか特別な時間のようにも感じられました。
- ADDRESS
〒920‑0918 石川県金沢市尾山町11‑1
JR金沢駅からタクシーで約5分、北鉄バス「南町・尾山神社」下車後 徒歩約3分
- OPEN
授与所・御朱印受付:9:00~17:00
お祓い対応:9:30~15:30
休業:年中無休
- AWARD
神門は1875年建立の重要文化財、本庭園は県指定名勝
- COMMENT
- ご利益
「必勝」「文武両道」「商売繁盛」「夫婦円満」「子宝」「安産」「厄除け」など、武将とその妻を祀る神社ならではのご利益が伝えられています
夕暮れ〜夜にかけて訪れると、ライトアップされたステンドグラスの神門が幻想的で見応えがあるそうです。
兼六園や近江町市場と近く、観光の合間に立ち寄るのに便利です
お祓いや御朱印、正式な参拝を希望する場合は、受付時間にご注意を。
尾山神社から21世紀美術館へ、美しい街の余韻とともに
尾山神社の境内をゆっくり巡ったあとは、裏門から続くスロープを通って金沢城方面へ。
かつての加賀百万石の栄華を感じさせる石垣や緑に包まれた道を抜け、徒歩でそのまま21世紀美術館へと向かいます。
芝生とガラス建築が印象的なこの美術館は、外観からすでに“アート”。
まず目に入るのは、カラフルなアクリル板で囲まれた《カラー・アクティヴィティ・ハウス》(オラファー・エリアソン作)。
時間帯や天気によって色の見え方が変化するインタラクティブな作品で、訪れるたびに違う表情を見せてくれます。
館内に入らずとも楽しめるパブリックアートが点在していて、散歩がてらの立ち寄りにもぴったり。
尾山神社の歴史的建造物とは対照的に、ここでは“今”の金沢の感性が感じられます。
水の中にいるような錯覚体験──《スイミング・プール》
21世紀美術館の中でも、特に人気の高い作品がレアンドロ・エルリッヒによる《スイミング・プール》。
見た目は完全に“水の中”なのに、実際は濡れずにその中を歩くことができる不思議なインスタレーションです。
この作品は現在【時間予約制】での入場。
事前にオンラインで予約しておいたので、館内到着と同時にちょうどのタイミングで鑑賞スタート。
天井から差し込む自然光に照らされ、青く揺らめく世界の中に入ると、まるで夢の中にいるような気分に。
地上からは本当に人が水中を歩いているように見えるのも面白く、見る場所によって印象が大きく変わるのもこの作品ならではの魅力。
《スイミング・プール》鑑賞手順とポイント
ステップ/ポイント | 内容 |
---|---|
1. 順番待ち予約 | 当日9:00から受付開始。WEBまたは館内発券機で予約可能。予約時間は1時間刻み(10時台〜17時台/金・土は19時台まで)。1時間あたり約120名定員。 |
2. チケット購入 | 展覧会ゾーンのチケットが必要(地下部鑑賞必須)。 ・コレクション展チケット:一般450円 ・特別展チケット:約1,200円(内容により変動、コレクション展も観覧可) |
3. 受付完了メール確認 | 予約後メールを受信。指定の展示室6前に、呼び出しから20分以内に集合。 |
4. 地下部鑑賞 | 制限時間は約5分、入れ替え制で体験。 |
注意点・おすすめアドバイス
アドバイス | 詳細 |
---|---|
WEB予約が確実 | 週末・連休は混雑必至。WEBでの事前予約が安心。 |
早めの行動 | 午前9:00直後に予約すると希望時間を取りやすい。 |
チケット事前購入 | 日時指定のWEB購入可。当日窓口での行列回避に有効。 |
混雑回避時間帯 | 平日午後や15時以降が比較的落ち着く。 金・土は20時まで開館するので夕方〜夜も狙い目。 |
体感する現代アートの空間
《スイミング・プール》以外にも、21世紀美術館の館内には五感を刺激する作品が数多く展示されています。
壁一面に光や色が反射するような抽象作品、
素材や形状から「これは何?」と問いかけてくるような立体オブジェ、
静寂な空間に淡く浮かび上がるようなインスタレーション──
どれも“見る”だけでなく“感じる”ことで、鑑賞体験が一段と深まる印象でした。
また、カラフルなパイプ状の作品が並んだガラスケースのインスタレーションなど、
空間との調和を重視した構成が多く、歩いているだけで自然と心が整っていくような感覚に。
まさに「日常と非日常のあいだ」を漂うような時間。
アートが持つ余白や余韻のようなものを味わえる、豊かなひとときでした。
アート散策のあとは、ホテルで小休憩
尾山神社から金沢城を抜けて21世紀美術館へ。
今回は兼六園には立ち寄らず、アートと建築に重きを置いた散策コースに。
館内では有名な「スイミング・プール」だけでなく、さまざまな現代アートをじっくり堪能。
屋外の光と風を感じながら作品を巡る時間は、金沢という街の洗練された一面に触れるひとときでした。
本来であれば、このまま兼六園にも足を伸ばす予定でしたが、この日はまさかの30度超え。
あまりの暑さに、無理はせずホテルへ戻って小休憩することに。
冷房の効いた部屋で水分補給をしながら、写真を見返したり、今夜のディナーに向けて服装を整えたり。
旅先での“あえて何もしない”時間も、思いのほか贅沢で心地よいものです。
ディナーは「マキノンチ」へ
金沢の街中から少し離れた住宅街のなかにある、完全予約制のレストラン「マキノンチ」。
この日は金沢駅からバスで「森山」バス停まで向かい、そこから徒歩でお店へ向かいました。
…が、ここで思わぬ誤算。
森山からお店までは、想像以上の急坂が続き、登るだけでかなりの体力を消耗(汗)。
気軽に歩ける距離感ではないので、これから訪れる方にはタクシー利用を強くおすすめします(笑)
それでも辿り着いた先には、古民家をリノベーションした温かみのある空間が広がっていて、
坂を登り切った分だけ、期待がぐっと高まります。
「マキノンチ」の詳細・コース料理の内容については、こちらのブログで詳しくご紹介しています。
マキノンチでの特別なディナーを終え、帰りはタクシーでホテルへ。
まるでシェフのご自宅に招かれたかのような、あたたかく心地よい時間に包まれました。
ここには書けませんが、とある有名人とも偶然ご一緒するというサプライズもあり、
一日の最後にふさわしい、思い出深い夜となりました。
こうして金沢旅の2日目も無事終了。
食も街歩きも、記憶に残るシーンばかりの一日でした。
- ADDRESS
石川県金沢市山の上町25‑18
- OPEN
営業日・時間:
ランチ:日曜日のみ(11:30ドアオープン、12:00スタート)
ディナー:月・火・水・金・土(17:30ドアオープン、18:00スタート)
定休日:木曜日と日曜のディナー
- AWARD
受賞歴 詳細
ミシュランガイド北陸 2021 二つ星獲得
Tabelog Award 2024 Bronze受賞
食べログ 百名店 フレンチ部門 連続掲載
ゴ・エ・ミヨ 日本版に掲載・高評価
- COMMENT
- オンライン(TableCheck)による予約が可能。ネット上で空席状況やコース、席タイプを選択できます(カウンター or 個室)
電話予約も可(050‑3503‑3318)。
DAY3|いきいき魚市場で立ち食い鮨「優勝」のにぎりコースを堪能
金沢旅3日目の朝は、ホテルをチェックアウト後、すぐ近くのカーシェアを利用して金沢港へ。
向かったのは、いきいき魚市場内にある人気店「立ち食い鮨 優勝」。
ミシュラン二ツ星「すし処 めくみ」の山口尚徳氏が監修する立ち食い鮨で、気軽さとは裏腹に本格江戸前スタイルが味わえると話題の一軒。
今回は事前に予約しておいた、人気No.1の「にぎりコース」(5,500円・税込)をいただきました。
滞在可能時間は1時間。内容は握り9貫に加え、味噌汁と玉子焼きというシンプルな構成ながら、その一貫一貫に詰め込まれた地元の旬と技に、ただただ唸るばかり。
ネタは金沢港、能登、富山など北陸の海から届く鮮魚が中心で、
この日はアオリイカ、白エビ、生しらす、白ガスエビ、輪島のアラ、能登マグロ、毛ガニ、愛知のウナギなど、まさに土地の恵み尽くしの内容。
とくに記憶に残っているのは、輪島港で揚がったアラ。
“アラ”と聞くと九州のクエを想像しがちですが、こちらは標準和名のアラ(スズキ目ハタ科)。
しっとりとした白身に穏やかな旨みがにじみ出し、噛むほどに深く染み入るような余韻を残す一貫でした。
また、金沢港で水揚げされた雌の毛ガニや、甘エビを練り込んだ卵焼きなど、ただ鮮度の高さを前面に出すだけでなく、「背景ごと味わわせる」丁寧な仕立てに胸を打たれます。
終盤には白ガスエビやトロタクの手巻きといった寿司屋ならではの変化球も登場。
コース全体にリズムと抑揚があり、立ち食いのテンポ感も相まって、あっという間の幸せな時間でした。
朝からこんな贅沢ができるのは、港の街・金沢ならでは。
旅の後半に向けて、最高のエネルギーチャージとなるDAY3のスタートです。
近江町市場でおみやげ探し
いきいき魚市場で朝食を終えたあとは、カーシェアを返却してそのまま近江町市場へ。
観光客でにぎわう市場内をぶらり歩きながら、旅の思い出におみやげをいくつか購入。
昼食に備えて食べ歩きはせず、次の予定へ向かいます。
- ADDRESS
〒920-0905 石川県金沢市青草町88
金沢駅から徒歩約15分
北鉄バス「武蔵ヶ辻・近江町市場」バス停すぐ
- OPEN
各店舗で異なりますが、概ね 9:00~17:00 頃
飲食店は早朝から営業する店もあり(例:7:00〜15:00頃)
定休日:不定休(店舗ごとに異なる。水曜日休みが多め)
- COMMENT
- 約170店の店舗が集まる市場
鮮魚、青果、精肉、乾物、総菜、飲食店など幅広いジャンルが並ぶ。
海鮮丼・寿司が名物
近江町市場の食堂や寿司店では、北陸ならではののどぐろ、甘えび、ガスエビ、白エビ、香箱ガニ(季節限定)など新鮮な魚介が楽しめる。
食べ歩きも楽しい
コロッケ、カキフライ、串焼き、フルーツ大福などテイクアウトグルメも人気。
歴史
加賀藩時代の江戸期(約300年前)から続く市場で、金沢市民の「台所」として親しまれてきた。
ランチは近江町すぐ、ミシュラン二つ星「レスピラシオン」へ
近江町市場でおみやげを購入したあとは、そのまま歩いてランチの目的地へ。
向かったのは、ミシュラン二つ星のモダンスパニッシュ「respiracion(レスピラシオン)」。
前回訪れたのは約6年前。
あの時感じた感動をもう一度確かめたくて、今回の金沢旅でも迷わず予定に組み込みました。
スペイン語で“呼吸”を意味する店名の通り、土地の空気や季節、作り手の思いが静かに溶け込んだ料理の数々。
記憶の中にあったあの味が、今回どう進化しているのか──楽しみにしながら、扉をくぐります。
レスピラシオンでの料理詳細・印象に残ったひと皿については、こちらのブログでご紹介しています。
金沢らしさに浸る午後、ひがし茶屋街へ
ランチを終え、余韻を残したままゆっくりと歩いて向かったのは、金沢を代表する歴史ある街並み「ひがし茶屋街」。
石畳の道に紅殻格子の町家が立ち並ぶこのエリアは、
ふだんは多くの観光客でにぎわっていますが、
この日は“とある著名人による予言”の影響もあってか、海外からの観光客の姿は少なめ。
そのぶん、落ち着いた雰囲気の中で、街並みの風情をゆっくりと楽しむことができました。
町家を活かした雑貨店や、老舗の和菓子店、趣あるカフェなどが並ぶ通りを、
特にどこかに立ち寄るでもなく、ただ静かに歩くひととき。
華やかさと素朴さが同居する、金沢らしい午後の散策となりました。
焙じ茶の香りに包まれて。ひがし茶屋街の「一笑」でひと休み
ひがし茶屋街の落ち着いた空気を楽しみながら、ふらりと立ち寄ったのは、
その一角にひっそりと佇む焙じ茶専門カフェ「一笑」。
格子戸をくぐり、席に座ると、
まず供されるのは冷たい献上加賀棒茶。
ほんのり甘く、香ばしさの中に清涼感が広がる一杯が、まるでウェルカムドリンクのような“おもてなし”として心をほどいてくれます。
そこから始まるのは、焙じ茶のテイスティング体験。
スタッフの方が目の前で一煎ずつ丁寧に淹れてくれるお茶は3種類:
-
献上加賀棒茶(浅煎り・すっきり)
-
加賀ほうじ茶(深煎り・まろやか)
-
7月限定「くらさわ」
── 果実のような甘さとスモーキーな香りが広がる、台湾式製法の烏龍茶ベースの特別な焙じ茶。
その中から香りを比べ、気に入った一杯を選ぶ贅沢な時間。
この日は迷わず、限定の「くらさわ」をセレクト。
湯気とともに広がる香りに、夏らしさと深いリラックスが同時に訪れます。
合わせるお菓子は2種類から選べて、
・クルミ入りの香ばしいケーキ
・季節の生菓子「滝しぶき」(涼を感じる青の練り切り)
をそれぞれ注文。どちらもお茶の味を引き立て、丁寧に選ばれた器の佇まいもまた一服の景色。
最後には、メニューには載っていない小さなお茶と菓子の心づけがそっと添えられ、
香りと心がじんわり整えられていくような、やさしい締めくくりとなりました。
帰り際、あまりにも気に入った「くらさわ」は、自宅用とおみやげに。
香りの余韻を胸に、ひがし茶屋街を後にします。
金沢を訪れるたびに、また季節の焙じ茶を味わいに立ち寄りたくなる、そんな特別な一軒です。
ひがし茶屋街で買い物を楽しんだあと、金沢駅へ
焙じ茶カフェ「一笑」での穏やかなひとときを終えたあとは、
そのままひがし茶屋街をぶらりと歩きながら買い物を楽しむ時間に。
町家を改装した器や工芸品の店、セレクトされた地元の食品や雑貨を扱うお店など、
どれも個性があり、ついひとつひとつ立ち止まってしまいます。
旅の最後にふさわしい、お気に入りを探す静かな楽しさがここにはあります。
一通り買い物を終えたあとは、バスで金沢駅へ。
駅前に近づく頃には、旅の終わりがほんのりと現実味を帯びてきて、
初日に降り立ったあの場所へ戻ってきたという感覚に、少しだけ名残惜しさも。
このあとは、駅ナカでのちょっとした寄り道と、最後の締めくくりへ。
金沢駅構内「黒百合」で、旅の締めくくりにおでんを
ひがし茶屋街での買い物を終え、金沢駅に戻ったあとは、
リムジンバスで小松空港へ向かう前に、駅構内の「黒百合」へ。
ほんの少しだけ旅の余韻を味わいたくて、
北陸らしいおでんを数品いただくことに。
出汁の染みた車麩や大根は、素朴ながらも滋味深く、
お酒は頼まず、そのやさしい味わいだけを静かに楽しみました。
華やかな料理も印象的だった今回の旅ですが、
最後にこうしてじんわりと染み入る一杯で締められるのも、金沢ならでは。
三日間を終えて──食と文化が静かに重なる、金沢という街
久しぶりに訪れた金沢は、やはりどこか凛とした空気をまとった、美しく静かな街でした。
尾山神社の歴史とモダンが融合した門構え、
街の中に溶け込むように佇む21世紀美術館では、
開放的な空間とアートが自然に日常へ入り込んでくるような感覚に。
格子戸の並ぶひがし茶屋街をゆっくりと歩いた時間も、
その土地の空気や人の営みを肌で感じられる貴重なひとときでした。
そして、旅の軸となったのはやはり“食”。
金沢港や能登、富山などの豊かな海の幸を中心に、
地の素材を活かした一皿一皿は、味だけでなく“その土地でいただく意味”を教えてくれるようでした。
中でも、今回訪れたミシュラン二つ星の店で味わったコースは、
金沢という場所で、いまこの季節にいただくからこそ成立するものだったと感じました。
ひと皿ひと皿が、街の空気や時間の流れと呼応するように静かに響き、
その“必然性”が、ごく自然に伝わってくる──そんな体験でした。
華やかさと素朴さ、静けさと豊かさ。
そのすべてが無理なく共存する金沢という街は、
訪れるたびに新しい深さを見せてくれる場所だと、あらためて実感しました。
また季節を変えて、今度はどんな金沢に出会えるのか──
そんな楽しみを胸に、旅を終えました。
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