BISHOKU QUEST

すし みむろについて

コンセプト

「すし みむろ」は、熊本県人吉市にある江戸前寿司の名店です。
1976年創業の「三駒すし」の息子さんが、新たにオープンしたお店で、カウンター8席の落ち着いた空間で食事を楽しむことができます。
東京・豊洲市場から仕入れる最高品質の天然魚と、天草をはじめとする九州の新鮮な海の幸を組み合わせ、江戸前寿司の技術で仕上げています。
本格的な江戸前寿司をリーズナブルな価格で提供することにもこだわっており、コストパフォーマンスの良さも魅力のひとつです。
「熊本・人吉の地で楽しむ本格江戸前寿司」をコンセプトに地域に根ざしながらも、全国から訪れる寿司好きに愛されるお店を目指しています。

三室健一郎 大将

三室氏は、熊本の料亭や銀座の名店「鮨太一」での修業経験を持ち、赤酢を使用したシャリや丁寧な仕込みなど、伝統的な江戸前寿司の技術を地元で披露しています
2020年7月の豪雨で実家の「三駒すし」が全壊した際、東京で修業中だった三室氏は、地元の復興と本格的な江戸前寿司を提供するために帰郷し、2021年7月4日に「すし みむろ」を新たにオープンしました。

レストランの評価

2025年の「The Tabelog Award」でBronzeを受賞しています。

多くのレビュアーから高い評価を受けており、予約は数ヶ月待ちで、特にコストパフォーマンスの高さと大将の技術が称賛されています。

ダイニングプレリュード

外観・エントランス

すし みむろの外観は、シンプルで落ち着いた雰囲気が特徴的です。建物は和風のデザインで、淡い色合いの壁と木製の扉が調和しています。入口には紺色の暖簾が掛かっており、上品な印象を与えます。


ダイニングスペース

店内はカウンター8席のみの空間で、木の温もりを感じる内装が施されています。落ち着いた雰囲気の中で、職人の技を間近で楽しむことができます。

メニュープレゼンテーション

すし みむろでは、昼夜ともにおまかせコースを提供しています。
コース内容は、つまみ8品と握り12貫が基本となっており、名門「石司」のマグロや地元・天草直送の旬魚など、厳選された食材が使用されています。

実際に味わった料理

シラウオ/あおさ

一品目はお出汁で炊いた八代産のシラウオに、天草・五和町産のあおさを合わせたお料理。
繊細なシラウオの風味と、香り豊かなあおさが絶妙に調和し、上品な味わいを楽しめます。

その後にシャリを加えることで、お出汁の旨味を吸い込んだ酢飯が加わり、一気に旨味が広がる「シンプルな茶漬け」のような変化を生み出します。
またこのタイミングで提供されるシャリは、通常の握りで味わう前に「純粋にシャリそのものを楽しむ」機会となります。
酢の加減や塩味、お米の食感が、お出汁とともにじんわりと広がることで、後に続く握りへの期待感が高まる瞬間でもあります。

すし みむろでは、お刺身を食べる際に 甘口・辛口の醤油を選べる という珍しい提供スタイルがあります。
これはネタごとの相性や九州は甘めの醤油文化 が根付いており、地元の人にとっては馴染みのある味。
一方、江戸前寿司の世界では、塩や辛口の醤油で魚の味を引き締めることが多いため、関東から訪れる人や寿司通の人には辛口の選択肢も重要。
つまり、三室大将は江戸前の世界観を押し付けるのではなく、ゲストにとって最適な食体験を提供することを大事にしています。

この両方を用意することで、地元の食文化を大切にしながらも、江戸前のスタイルをしっかりと守るバランスを取っています。

鰆と鯛のお造り

口に含むと、しっとりとした舌触りのあとに、じんわりと広がる甘み。大将はあえて「水分を抜きすぎない」調整を施している。
この「水分を残した熟成」の仕事こそが、鯛の持つポテンシャルを極限まで引き出している。
6キロの鰆は「酢締め」というひと手間を加え、余分な水分を抜きながら、脂の甘みを際立たせ、仕上げに皮目を焼き切る(炙る)ことで、脂の香ばしさと旨味の厚みをプラス。
単なる刺身ではなく、一口ごとに香りと味わいが変化する立体的な一皿となっている。

イワシの海苔巻き/ほうれん草のお浸し/子持ち昆布

ツマには、江戸前鮨の定番であるイワシの海苔巻きをはじめ、熊本産のほうれん草のお浸し、そして北海道の子持ち昆布が添えられ、それぞれの持ち味が活かされた絶妙な組み合わせとなっている。ほうれん草のお浸しは熊本の豊かな土壌で育まれた野菜の甘みを感じさせる優しい口当たり、さらに、プチプチとした食感が楽しい子持ち昆布が加わることで、味の流れに奥行きを生み出している。

脂ののったイワシを海苔の香ばしさとともに巻き上げた一品は、江戸前の技が光る王道の味わい。

太刀魚の焼き魚

太刀魚の焼き魚は、三枚におろした身を絶妙な火入れでふっくらと焼き上げ、太刀魚特有の繊細な旨味と香ばしさを引き出した一品。脂ののった身は、表面はパリッと香ばしく、中はしっとりとした柔らかさを保ち、口の中でほろりとほどけるような食感に仕上げられている。シンプルながらも、素材の持ち味を最大限に活かした焼き加減が光る、職人の技が感じられる一皿。

北海道セイコガニ

北海道産セイコガニは、本来なら12月で漁が終わるものの、今回は刺し網にかかった希少な一杯。
セイコガニ特有の内子のコク、ジュレの清涼感、そして身の繊細な甘みが絡み合い、季節の名残を感じさせる贅沢な一皿となっている。
希少な一杯がいただけてとてもラッキーでした。

メジマグロの藁焼き

長崎産の7キロのメジマグロは、脂のノリが程よく、赤身の旨味が際立つ若鮪を使用。特別に仕入れたお米を作っている契約農家の藁を用い、香ばしい香りをまとわせる藁焼きで仕上げることで、繊細なスモーキーさと奥深い味わいを引き出している。皮目はしっかりと炙り、表面をカリッと仕上げながらも、内側はしっとりとした食感を保ち、噛むたびに藁の香りとマグロの旨味がじんわりと広がる一品となっている。

白子の茶碗蒸し

白子の茶碗蒸しは、濃厚でクリーミーな白子をふんだんに使い、なめらかな舌触りと深いコクを引き出した贅沢な一品。蒸し上げた瞬間にふわりと広がる白子の旨味に、トップに添えた自家製の海苔の佃煮が絶妙なアクセントを加え、磯の香りとほのかな甘みが全体の味わいを引き締める。白子のとろけるような食感と、佃煮の濃厚な味わいが一体となり、口の中で優雅な余韻を残す仕上がりとなっている。

金目鯛の桜蒸し

金目鯛の桜蒸しは、脂ののった金目鯛を丁寧に蒸し上げ、桜の葉の香りを纏わせることで春の訪れを感じさせる一品。蒸すことで金目鯛のふっくらとした食感と、上品な脂の甘みが引き立ち、ほのかに香る桜の風味が余韻を優雅に彩る。シンプルながらも、素材の持ち味と季節感を見事に融合させた、味覚だけでなく香りでも楽しめる一皿となっている。

「石司」の鮪

青森・三厩(みんまや)の170キロの本鮪は、日本屈指のマグロ仲卸「石司」から仕入れた極上の一本。伝統の乾燥熟成を施すことで、余分な水分を抜きながら旨味を凝縮させ、鮪本来の奥深い味わいとねっとりとした食感を際立たせている。

春子鯛

昆布締めにすることで余分な水分を抜き、旨味を凝縮させながらも、程よいしっとり感を残し、口の中でふわりとほどけるような食感に仕上げる。昆布のほのかな香りと春子鯛の上品な甘みが、赤酢を効かせたシャリと絶妙に調和し、一口ごとに優雅な余韻を残す、江戸前寿司らしい洗練された一貫。

鮪の赤身

乾燥熟成により旨味が極限まで引き出された至高の一貫
肉厚ながらもしっとりとした舌触りが特徴で、噛むほどに鉄分のニュアンスと深いコクが広がる。赤酢を効かせたシャリと合わさることで、鮪の酸味と旨味がさらに際立ち、シンプルながらも余韻の長い味わいを生み出す、握りの真髄を感じる一貫。

鮪のはがし

鮪のはがしでは、シャリの温度をほんの少し上げることで、鮪の脂を引き立たせ、より滑らかな口溶けを演出する。筋を感じさせず、しっとりとした食感に仕上げられる。やや温かみのあるシャリと合わさることで、鮪の旨味がふわりと広がり、赤身の奥深いコクと脂の甘みが一層際立つ。握りの瞬間まで計算された温度調整が、口の中での余韻を長くし、鮪の持つ繊細な味わいを引き出す一貫。

小肌

小肌は、江戸前寿司の真髄ともいえる仕事が施された一貫。小肌特有の優しい酸味とほのかな甘みが広がる。口の中でほぐれるような質感と、赤酢を効かせたシャリの相性が際立ち、後味に心地よい余韻を残す、まさに江戸前の技が映える一貫。

スミイカ

スミイカは、驚くほどの厚みを持たせることで、その食感を最大限に引き出した一貫。一般的な握りのイカとは一線を画し、噛んだ瞬間に感じる心地よい弾力と、ほどけるような滑らかさが共存する仕立てとなっている。包丁の入れ方も計算されており、適度な歯切れの良さと、イカ特有の甘みが際立つよう調整。赤酢のシャリと合わさることで、噛むごとに旨味が増し、これまでにないほどの厚みと食感のコントラストが印象に残る一貫となっている。

ハマグリ

ハマグリは、じっくりと炊き上げることで、ふっくらとした食感と貝の旨味を最大限に引き出した一貫。絶妙な火入れにより、身は柔らかくも弾力を残し、噛むたびに貝特有の甘みと滋味深いコクが広がる。仕上げには、丁寧に仕込んだ煮切り醤油を纏わせることで、ハマグリの風味を一層引き立て、シャリとの一体感を高める。口の中でじんわりと染み込むような旨味が感じられ、余韻まで心地よく残る、贅沢な味わいの一貫。

サバ

済州島の〆鯖は、冷たい海で育った脂ののりが良い鯖を厳選し、絶妙な締め加減で仕立てた一貫。

帆立

煮ホタテは、40度の低温で40分かけてじっくり炊き上げることで、火入れによる旨味の凝縮と、生のようなしっとりとした質感を両立させた一貫。炊き上げた後に潰して成形することで、ホタテ特有の繊維質な食感を柔らかくしながらも、ほぐれるような口溶けを実現。噛むたびにじんわりと広がる甘みと、低温調理ならではのミルキーなコクが感じられ、シャリとの一体感が際立つ。生ではないが、生のような瑞々しさを残した、繊細な仕事が光る仕立て。

車海老

今回は特に大ぶりなサイズを絶妙な火入れで茹で上げた一貫。身はふっくらとしながらも適度な弾力を保ち、甘みが一層際立つ仕上がりに。
しっかりとした厚みがあるため、噛むたびに海老の濃厚な旨味と優しい甘さが口いっぱいに広がる。

雲丹

雲丹の軍艦巻きは、産地や種類の異なる三種の雲丹を贅沢に盛り込み、それぞれの個性を際立たせた一貫。口に入れた瞬間、異なる甘みやクリーミーさが幾重にも重なり、濃厚な旨味が広がる。海苔の香ばしさとシャリの酸味が、雲丹の甘みをさらに引き立て、後味は驚くほど滑らか。産地ごとの違いを感じながら、濃厚さと繊細さが共存する至福のひと口に仕上がっている。

穴子

穴子の蒸し握りは、ふっくらと柔らかく仕上げることで、穴子本来の甘みと繊細な旨味を最大限に引き出した一貫。時間をかけて丁寧に蒸し上げることで、余計な脂が落ち、口に入れた瞬間にほろりとほどけるような食感を生み出している。仕上げには、コクのあるタレを纏わせる仕立てと、塩でシンプルに引き締める仕立ての二通りが選べる。シャリと優しく馴染み、余韻まで軽やかに広がる、締めにふさわしい一貫。

玉子

江戸前の伝統を受け継ぐ玉子焼きは、まるでカステラのようなふんわりとした食感が特徴。海老のすり身を加えることで、ほんのりとした甘みと奥行きのある旨味を生み出し、砂糖と塩の絶妙なバランスが味わいを引き締める。2時間かけてじっくりと焼き上げることで、しっとりとした口当たりと均一な焼き色を実現し、口に含むと優しい甘みとともに海老の風味がじんわりと広がる。シンプルながらも、職人の技が凝縮された締めにふさわしい一品。

ここからは追加の握りへ。先ほどの流れを汲みながらも、新たな驚きや余韻を楽しむことができる、特別な一貫が生まれる瞬間。

メジマグロ

炙らずに生のまま重ねたメジマグロは、その瑞々しさと繊細な旨味を最大限に活かした一貫。火を入れずに重ねることで、鮪本来のピュアな風味が際立ち、口に含んだ瞬間に優雅な香りがふわりと広がる。重ねることで生まれる食感の厚みが心地よく、噛むごとに舌の上でとろけるように馴染んでいく。シャリとの調和が取れた後に感じる余韻の長い香りの広がりが、この握りの魅力を一層引き立てている。

ブリ

熟成ブリは、時間をかけて旨味を引き出し、脂の甘みと身のコクが際立つよう仕立てた一貫。適度に水分を抜きながらも、しっとりとした舌触りを保ち、噛むごとにブリ特有の芳醇な脂が口の中で広がる。熟成によって生まれる奥行きのある味わいと、赤酢のシャリの酸味が見事に調和。

あん肝

余市のあん肝の巻きは、濃厚でなめらかな舌触りのあん肝を贅沢に一本巻きにした一貫。

周りのお酒を飲むお客さんに「呑兵衛セット」と称して提供されており、食べたかったネタ。
握りでできるか確認したら巻きがオススメと大将。

余市ならではのしっかりとしたコクと旨味を活かし、口の中でとろけるような仕上がりに。

タレ仕立てでは、甘みとコクのあるタレを纏わせることで、あん肝の濃厚な風味が一層際立ち、深みのある味わいに。

そのままの仕立てでは、余計な味付けをせず、あん肝本来の旨味とほのかな塩味をダイレクトに楽しめる。

さらに、中に添えられた薬味がアクセントとなり、巻物全体に絶妙なバランスをもたらし、重たさを感じさせない仕上がり。

口の中で広がる芳醇な味わいと、食感の変化が楽しめる贅沢な一本。

まとめと感想

「すし みむろ」での食事は、単なる江戸前鮨の提供ではなく、一人ひとりの食べ方や背景に寄り添った、極めて丁寧なもてなしが印象に残る。

大将・三室健一郎氏は、握りの技術だけでなく、お客さんの咀嚼回数やペースを細かく観察し、その食べ方に応じてシャリのサイズやネタの切り方を変える。さらには、会話の中から「前後にどこで何を食べたか」「どんな味の流れが適切か」を瞬時に把握し、コースの組み立てや味のバランスを微調整する。この細やかな気配りは、まさに職人の謙虚さとホスピタリティの表れだ。

また、人吉という地にありながらも、東京・銀座の名店にも引けを取らない本格的な江戸前鮨を提供しながら、地域性を活かした温かみのある接客を大切にしている点も素晴らしい。
おまかせの流れにおいても、伝統的な技法にこだわりながら、素材の個性や食べる人の状態を考慮したアレンジが随所に見られ、鮨そのものの完成度だけでなく、「その人にとっての最高の体験」を提供しようとする姿勢が強く感じられる。

一貫ごとに、職人の心配りや経験が滲み出る「すし みむろ」。控えめでありながら、確かな実力を感じさせる大将の握りは、人吉という場所であるからこそ生まれた「一期一会の江戸前鮨」と言えるだろう。

予約方法とアクセス情報

予約方法:

電話予約かオンライン予約
一休.comレストランの予約サイトからもご予約いただけます。

アクセス情報:

住所:熊本県人吉市駒井田町212-1
最寄り駅:JR線 人吉温泉駅から徒歩3分(約394m)

駐車場:専用駐車場はございません。近隣の駐車場をご利用ください。
営業時間:

12:00~14:30
18:00~22:30
定休日:不定休

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