BISHOKU QUEST

田舎の大鵬について

コンセプト

「田舎の大鵬」は、京都府綾部市の豊かな自然の中に位置するユニークな中華料理店です。京都市内の老舗中華料理店「大鵬」の二代目である渡辺幸樹さんが手掛けており、自ら育てた野菜や飼育した家畜を用いた料理を提供しています。

このレストランでは、訪問者が食材の収穫や家畜の解体といったプロセスを体験でき、食材が食卓に上るまでの過程を深く理解することができます。料理は、地元で採れた新鮮な食材を活かした中華料理で、自然の恵みを存分に味わえる内容となっています。

営業は完全予約制で、1日1組限定となっております。

ここでは、食材との距離が近く、食べることの本質を考えるきっかけとなる貴重な体験ができます。

渡辺幸樹シェフ

渡辺幸樹さんが「田舎の大鵬」を開業するきっかけは、約15年前に遡るそうです。当時、京都・二条の「大鵬」で父親と共に料理を提供していた際、四川省など中国各地を訪れ、農家が営むレストラン「農家楽(ノンジャーラ)」に触れる機会があり、これらのレストランでは、農家が自ら育てた新鮮な食材を使った素朴で美味しい料理が提供されており、その魅力に強く惹かれたそうです。

さらに、スペインのワイナリーでの滞在経験も影響を与え、現地では、収穫したばかりのブドウや自家製のシャルキュトリー、野生のアスパラガスを使ったパスタなど、シンプルながら心を揺さぶる料理を体験されたそうです。これらの経験を通じて、素朴な食材の豊かさや、農と隣り合わせの食文化に魅了されていったそうです。

その後、持続可能な飲食業のあり方を模索する中で、京都府綾部市の「蓮ヶ峯農場」を訪れ、養鶏家の峰地幹介さんと出会い、この出会いをきっかけに、農と隣り合わせで料理を提供する理想の形を実現できると確信し、2022年に綾部市に移住し、「田舎の大鵬」を開業されたとのこと。

レストランの評価

訪れた人々からは、「命を頂く、究極の食育体験」と評され、自ら育てた食材を用いた料理や、食材の命を尊重する独特の体験が高く評価されています。

また、LEONなどのメディアでも取り上げられ、「食べるという行為の原点に回帰する農場レストラン」として注目を集めています。

ダイニングプレリュード

ウェイティング & レセプション

早く着いてしまったのでウッドデッキにてウェイティングタイム
綾部の豊かな里山の風景が広がり、オープンエアな空間でドリンクを飲みながらリラックスして始まりの時を待ちます。

ダイニングスペース

「田舎の大鵬」のダイニングスペースは、京都府綾部市の自然豊かな環境に溶け込むように設計されています。店舗はオープンエアの構造で、屋根はあるものの壁がなく、天候や周囲の風景を直接感じられる開放的な空間となっています。

ダイニングエリアには丸テーブルが配置され、ゲストは四季折々の景色を楽しみながら食事を堪能できます。この設計により、訪れるたびに異なる自然の表情を感じられ、特別な食事体験を提供しています。

ファーム

「田舎の大鵬」では、シェフ自らが育てた野菜や家畜を使い、食材の命を大切にする料理を提供しています。ファームには、綺麗な目をした豚の「ゆりちゃん」 が暮らしており、訪れたゲストを温かく迎えてくれます。

また、敷地内にはホワジャオ(花椒)などのスパイスやハーブなどが自生しており、料理に使用される食材の一部がその場で育まれています。このような環境の中で、食材がどのように育ち、料理に生かされるのかを体感できるのも、「田舎の大鵬」ならではの魅力です。

いのちと向き合う時間

「田舎の大鵬」では、食材の命と真正面から向き合う貴重な食体験 ができます。この日、いただく鶏が登場すると、その場の空気が少し張り詰めます。鶏を、自らの手で絞め、捌き、調理する過程を目の当たりにすることで、食べることの本質を深く考えさせられる瞬間。

シェフ自らが捌いた鶏の内臓は、素早く処理され、きれいに掃除。
生き物に感謝をし、「すべての部位を美味しくいただく」 という精神が息づくこの場所で、普段あまり口にしない部位の美味しさに驚く体験が待っています。

実際に味わった料理

自家製メンマと山椒の葉炒め物

「田舎の大鵬」で最初に登場するのは、定番の「自家製メンマと山椒の葉の炒め物」。
強火でサッと炒めることで、メンマのコクと山椒の香りが際立ち、シンプルながらも味わい深い一皿に仕上がっています。

中華料理の技法を活かしながらも、自然の恵みをダイレクトに感じられる一品。まずはこの炒め物を味わい、食事のスタートを楽しみます。

イギリス発のクラフトノンアルコールビールブランド「BRULO DRY HOPPED STOUT」
濃厚な黒ビールのような味わいながら、ノンアルコールなので食事とも相性も抜群。

ささげ アオモジの辣油

シャキッとした歯ごたえのささげに爽やかな柑橘の香りを持つアオモジを使用した辣油をかけることで、ほどよい辛味と芳醇な香りがプラスされ、奥深い味わいに。ピリッとしたスパイスの刺激と、ささげの優しい風味が絶妙に絡み合い、シンプルながらも味わい深い仕上がり。

シシトウとカリカリの鶏皮の炒め物

香ばしく焼かれた鶏皮と、シンプルながらも辛みと甘みのバランスが良いシシトウが絶妙に絡んだ一皿

鶏ホルモンの葱油掛け

〆たての新鮮な鶏ホルモンを湯引きし、自家製のナンプラーを掛け、九条葱をのせて仕上げに熱した油を掛ける。シンプルながらも素材の旨味を最大限に引き出した一品。湯引きすることで余分な脂や臭みを落とし、ぷるんとした食感とコリコリとした歯ごたえを楽しめる仕上がりになっています。

〆たてだからこその鮮度が際立つ、食材のポテンシャルをダイレクトに感じる一皿。旨味と香ばしさが絡み合い、お酒との相性も抜群な一品です。

2杯目は同じくイギリス発のクラフトノンアルコールビールブランド「BRULO 7 HOP 7 GRAIN IPA」
柑橘系の香りとしっかりとしたホップの苦みがありながら、ノンアルコールなので気軽に飲めるのが魅力です。ビール好きでも満足できる本格的な味わいのIPAです。

新鮮な鶏の血を固めたスープ

鶏の血を絶妙な火入れで加熱し、ニラやネギ、香味油などで風味豊かに。
中国や台湾で食べられる薬膳料理。「食材を余すことなく活かす料理」を提供する店ならではの一品

トマトと玉子の炒め物

濃厚でコクがある玉子にトマトの爽やかな酸味と甘みと絶妙にマッチ。強火でサッと炒めることで、トマトの果汁がじんわりと広がり、卵に染み込んで優しい旨味を引き立てます。
中国の家庭料理の定番ながら、〆たての玉子だからこその贅沢な味わいが楽しめる一品。

デストロイヤー(じゃがいも)のフライ

スタッフの方が育てた「デストロイヤー」というユニークな名前のじゃがいもを使ったフライ。


ディップソースとして発酵野菜をベースにした中国の伝統的なソース「イエッツァイガオ(野菜膏)」ソース

上林川の天然鼈の葉っぱ蒸し

スッポンは、コラーゲンが豊富で、滋養強壮や美容にも良い とされる食材。蒸すことで余分な脂を落とし、皮目のプルプルとした食感と、ホロホロとほどける肉質の両方を楽しめるのが魅力

鶏鍋

メイン料理は「田舎の大鵬」ならではの、〆たての鶏を贅沢に味わう鍋料理。新鮮な鶏の旨味をダイレクトに感じられる、シンプルながら奥深い一品です。

バスマティライス

目の前の畑で育てた自家製バスマティライスを使い、鶏鍋の〆を楽しめます。

ここでしか味わえない唯一無二の〆。シンプルながらも、食材の力を存分に感じられる贅沢な締めくくりとなります。


腸詰や大豆を発酵させた腐乳などで味変

デザート & フィナーレ

水ゼリー

「究極のシンプルさ」から生まれる、水の美味しさを感じるデザート。鶏鍋の〆を堪能した後の、優しい口当たりと清涼感が心地よい一品です。

まとめと感想

「田舎の大鵬」での食体験は、食材の命と向き合いながら、その持ち味を最大限に活かす料理 を味わう、まさに唯一無二の時間でした。〆たての鶏を余すことなく使い、素材の力を存分に引き出した料理が続きました。

特に印象的だったのは、料理のすべてが自然と共生し、そこにあるものを最大限に活かすという哲学のもとに成り立っていること。スパイスや発酵調味料も自家製で、畑で育てたものをそのまま料理に取り入れるスタイルが、食の原点に立ち返る感覚を味わわせてくれました。

すべてが「必要なものだけで構成された美味しさ」であり、無駄のない食の形に感動しました。

ここでの食事は、単なる美味しい料理を味わう時間ではなく、「食べる」という行為そのものを改めて考えさせられる体験。田舎の大鵬ならではの自然と一体になった美食の世界に、深く魅了されました。

予約とアクセス情報

予約方法:

毎月の予約は、前月の1日から受け付けています。例えば、3月の予約は2月1日から開始されます。予約はInstagramのダイレクトメッセージ(DM)にて行っており、詳細は公式Instagramアカウント(@inakanotaihou)をご確認ください。

アクセス情報:

JR綾部駅南口から「あやバス」上林線の「大町バスターミナル[上林いきいきセンター前]」行きに乗車し、「上林小・中学校前」で下車後、徒歩約20分(約1.5km)です。バスの運行は1~2時間に1本で、料金は400円です。車でお越しの場合、綾部駅から約30~40分の距離にあります。

詳細な情報や最新の営業状況については、公式InstagramFacebookページをご確認いただくことをおすすめします。

田舎の大鵬を目的地に、福知山・綾部を巡る美食と自然の旅はこちらを参考に。

2024.09.01
Destination: FUKUCHIYAMA・AYABE AREA Vol.1
MIZUMACHI
「知られざる美食の旅へ—心と五感で味わう特別なひとときを」

BISHOKU QUESTは、全国の厳選された美食スポットを巡るグルメ探求プロジェクトです。
地元の食材を活かした料理、シェフのこだわりが詰まった隠れ家的なレストラン、食を通じて地域の文化や歴史を体験できる場所を厳選してご紹介。
味わうだけでなく、その土地ならではの空気やストーリーを感じる特別な食の旅をご提案します。

食を愛するすべての人へ、新しい美食の発見と感動をお届けします。
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