BISHOKU QUEST

旅先で出会った、心に残るひと皿を

『BISHOKU QUEST』は、日本各地の美食を求めて旅をするグルメブログです。
シェフのこだわりや地元食材の魅力、料理の背景にある物語を、写真と共に丁寧に綴ります。

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鳥茂(とりしげ)について

コンセプト

新宿東口に店を構える「鳥茂」は、昭和24年に屋台から始まった老舗。
戦後の物資が乏しい時代に、比較的手に入りやすかった豚の内臓を串に刺し、炭火で焼いたことが原点です。屋号の「鳥」は、当時“焼き鳥”という言葉が豚のもつ焼きまで含んでいた名残で、「茂」は当時の首相・吉田茂に由来します。

代々受け継がれてきたのは、もつの鮮度を第一に考える姿勢。朝まで生きていた豚をその日のうちに処理し、毎日仕入れて毎日仕込むことで、串一本ごとに力のある味を引き出しています。看板の「ピーマンの肉詰め」は創業以来の定番で、甘めのタレと香ばしい焼き目が特徴。レバーや上シロ、こめかみといった部位に加え、和牛の希少部位や季節の高級食材も取り入れ、コースはその日ごとの変化に富んでいます。

活気ある店内では、焼き場を目の前にするカウンター席が特に人気。昭和の面影を残す写真や雰囲気とともに、長年通う常連客から新しい訪問客まで、幅広い人を迎え入れる懐の深さを感じさせます。

大将について

三代目として暖簾を守るのが、酒巻祐史さん。
初代・二代目が築き上げた伝統を大切にしながらも、新しい挑戦を積極的に取り入れています。

串の火入れに対するこだわりは特に強く、表面と中の火加減を見極めながら、一本一本を丁寧に仕上げていく。その日の仕入れや状態に応じて、塩かタレかを判断し、臓物の下処理も自らの目で確認して進める徹底ぶりです。

また、定番の「ピーマンの肉詰め」など、創業以来の味を守りつつ、和牛や希少部位、季節の食材をコースに取り入れることで、進化を続けています。店に立つ姿勢はオープンで、カウンター越しにお客と同じ空気を共有しながら焼き場に立つ。常連客を大事にしながらも、初めて訪れる人にも楽しんでもらえるように心を配っているのが印象的です。

お店の評価

「鳥茂」はグルメサイト「食べログ」が毎年発表する The Tabelog Award において、長年にわたり受賞を続けてきた名店です。
2017年以降は毎年選出され、2019年と2020年には Silver を獲得。以降も安定して Bronze を受賞しており、2025年もその名を連ねています。串焼き・もつ焼きというジャンルで、これほど継続的に評価を得ている店は稀であり、同業からも特別視される存在です。

ダイニングプレリュード

外観・エントランス

新宿・南口近く、ビルが立ち並ぶ繁華な通りから一本裏手に入るあたりに、ひっそりと佇む「鳥茂」。近くにマクドナルドなどのわかりやすい目印があるため、その裏道を探すルートが定番です。

入口前の路地は幅が広くなく、街灯や看板の暖かい明かりが目印。外壁に掲げられた「鳥茂」の暖簾(のれん)と木製の案内看板が目を引き、夜になるとその照明が柔らかく路地を照らし、敷居が高すぎず温かみを感じさせます。ガラス戸や木の枠など、素材感のある重厚さと程よい年月をまとった存在感があり、通り過ぎてしまいそうで、しかし近づくとちゃんとそこにある存在感があります。

ダイニングスペース

「鳥茂」の店内は、1階と2階を合わせて 約82席 のキャパシティを持ち、カウンター席とテーブル席がバランスよく配置されている空間です。

席の構成・レイアウト
  • カウンター席が 22席。調理の様子を間近に見られる席で、特に1階や2階の焼き場近くのカウンターが人気。焼き手の仕事を“観る”楽しさがあります。

  • テーブル席は60席ほど。1階と2階に分かれており、2階はホール形式のテーブル席が多く、複数人での会食やグループ利用に適している様子です。

雰囲気・空間の印象
  • 全体に“活気”がある。カウンター席ならではの熱気(焼き場の音、炎・煙・焼き上がる香り)が感じられ、調理人の手の動き、火の音など五感に刺さる臨場感があります。

  • テーブル席では、もう少し落ち着いて会話や飲食を楽しみたい客が多く、グループでゆったりできる空間。とはいえ、全体の雰囲気は「ガヤガヤ」と“活気あり”で、静かに静養するタイプの飲食店というよりは、“食事・お酒・会話”が重なって賑やかになる場。

メニュープレゼンテーション

鳥茂のメニューは、大きく「コース料理」と「串焼き・刺し/一品料理」「野菜」「〆もの」「デザート」の構成になっており、定番から希少部位・季節性のある品まで揃っています。量・価格帯・味の変化を楽しめるバラエティが魅力です。以下、具体的な内容とおすすめポイント。

コース料理

コースは数種類あり、来店目的や予算によって選びやすいラインナップです。代表的なものは:

  • 特選コース:特上焼物6品+お刺身+雑炊が付くコース。焼き物、刺身、締めの雑炊まで一通り楽しめる構成です。

  • おまかせ串コース:串焼きを中心に、鳥茂の定番・人気の串がそろうコース。串好きには特におすすめ。

  • 上6品/上5品/上4品コース:品数少なめで軽めに食べたい方向け。上位の串焼きメニューを中心に楽しめる。

  • 刺身入りコース:基本のコースに+刺身が加わるタイプ。内臓系(豚/牛)の刺身を味わいたい人に嬉しいオプション。

価格帯はだいたい ¥2,000〜¥6,500〜¥10,000前後 のものがあり、用途・予算に応じて選べるようになっています。

今回は、三代目・酒巻祐史さんが仕立てる 9,800円の大将おまかせコース を選択。
仕入れの状況や季節ごとに内容が変わるため、テーブルに並ぶまで何が出てくるかはお楽しみという構成です。

定番の串焼きはもちろん、希少部位や和牛、さらに旬の野菜や魚介を取り合わせながら、その日一番の食材を使った品々が次々と運ばれてきます。焼き台の前で仕上げられる串は一本ごとに火入れが異なり、脂の乗りや肉質を見極めた焼き加減。さらに刺身や雑炊、デザートまでコースとしてしっかり組み立てられており、“鳥茂らしさ”を余すことなく堪能できる流れになっています。

「大将おまかせ」の名のとおり、目の前で焼き上がる臓物の串から、時に驚きを与える高級食材まで、その日の“酒巻さんの判断”に委ねるのがこのコースの醍醐味。訪れるたびに違った構成で楽しませてくれるため、常連客にも選ばれる理由がよくわかります。

実際に味わった料理

お通し:玉ねぎとガツの和え物

最初に供されるのは、お通しの 玉ねぎとガツの和え物
シャキッとした玉ねぎの辛味と甘みが、ガツ(豚の胃袋)の歯ごたえとよく合います。軽く和えられた胡麻や唐辛子の風味がアクセントになっていて、一口目から食欲を引き立てる味わい。

お通しといっても気の抜けた一品ではなく、「これから串を味わうぞ」という心構えを自然と整えてくれる前奏曲のような存在です。

名物レバー串

コースの序盤に登場するのは、名物の レバー串
表面をさっと焼き上げ、中はとろりとした半生の状態に仕上げられています。火入れの精度が抜群で、噛むほどに甘みとコクが広がりながら、レバー特有の臭みはまったく感じられません。

添えられた辛子やレモンを合わせると、口の中がすっと軽くなり、また一口進めたくなる。串一本に鮮度と技術のすべてが込められていて、「鳥茂に来たらまずこれ」と言われる所以を納得させられる一品でした。

上シロ

続いては 上シロ
豚の大腸にあたる部位で、丁寧に下処理されているため臭みは一切なく、噛むほどに旨みと脂の甘みが滲み出てきます。

表面は香ばしく、内側はぷるりとした弾力。特製のタレが絡み、脂のコクを包み込みながら後味を軽やかにまとめています。辛子を添えるとキレが増し、酒との相性も抜群。

臓物の魅力をしっかり伝えてくれる一本で、串焼きの真髄を味わわせてくれる存在でした。

つくね

続いて登場したのは、香ばしく焼き上げられた つくね
粗挽きの肉をしっかり練り上げた生地は、噛むごとに肉の粒立ちを感じさせながら、口の中でふんわりとほどけていきます。表面は香ばしく、中はしっとりとジューシー。

タレの甘みと炭火の香りが合わさることで、まるで小さなハンバーグを串にしたかのような満足感があります。添えられた辛子を少しつければ、さらに後味が締まり、お酒との相性もいっそう際立ちます。

漬物

串が続いたところで、口をリセットしてくれる 漬物 が登場。
胡瓜、大根、白菜などを浅漬けにしたシンプルな構成ながら、程よい塩気と野菜本来の瑞々しさが心地よい。

脂の旨みが濃い串焼きの後に挟むことで、味覚がすっと整えられ、次の料理へ向かう準備をさせてくれます。派手さはないものの、コース全体を通じて欠かせない存在感を持つ一皿でした。

こめかみ

次に供されたのは こめかみ
豚の頬の付け根にあたる部位で、筋肉質ながらもほどよく脂が入り、独特の弾力を楽しめます。

噛みしめると肉の旨みがじわりと広がり、ネギの香ばしさがそれを引き立てる。肉と野菜のバランスが良く、強い存在感のある一本ながらも後味はすっきり。串焼きの奥深さを感じさせる一品でした。

サーロインとシャトーブリアン

串物の合間に登場したのは、和牛の サーロインとシャトーブリアン
サーロインは脂の甘みと香ばしさが際立ち、口に含むととろりとした旨みが広がります。一方のシャトーブリアンは、しなやかな赤身の肉質と濃い旨みをしっかりと感じさせ、同じ牛肉でありながら対照的な魅力を見せてくれます。

添えられた辛子と にんにくおろし を合わせると、肉の風味がぐっと引き締まり、脂の重さを感じさせずに最後まで食べ進められる。串焼き中心の流れの中で、肉の奥深さを存分に堪能できる一皿でした。

黒豚バラと豆腐のすき焼き風

コースの途中に供されたのは、黒豚バラと豆腐を卵黄でいただくすき焼き仕立て
脂がのった黒豚バラはとろけるような柔らかさで、甘辛い割り下をまとった豆腐とともに口に運ぶと、卵黄のまろやかさが全体を包み込みます。

さらに、上に散らされた実山椒の爽やかな香りがアクセントとなり、重さを感じさせずに食べ進められる仕立て。串焼きの合間に挟まれることで、コースの流れに豊かな変化を与える一皿でした。

牛の大トロ

串焼きの合間に現れたのは、贅沢な 牛の大トロ
しっかりと火入れされながらも中はジューシーで、脂の甘さと赤身の旨みが一体となって広がります。

噛むごとに溢れる肉汁は濃厚ながらも重たさはなく、タレのコクと辛子の刺激が絶妙なバランスを生み出していました。串というシンプルな形で供されながら、肉そのものの存在感を存分に堪能できる一本です。

ピーマンの肉詰め

鳥茂といえば外せないのが、発祥の料理として知られる ピーマンの肉詰め
粗挽きのつくねをぎゅっと詰めたピーマンは、炭火で香ばしく焼き上げられ、表面に甘辛いタレが絡んでいます。

ピーマンのほろ苦さと肉の旨みが合わさることで、単調にならずに後を引く味わいに。焦げ目の香ばしさがさらに食欲を煽り、噛むほどに肉汁が広がっていきます。

創業以来の看板料理であり、ここを訪れる多くの人が必ず注文する一品。鳥茂の歴史と技が詰まった一本でした。

シャトーブリアン(再登場)

コースの終盤、思いがけず シャトーブリアン がもう一度登場。
しっとりと火入れされた肉は相変わらずの上質さで、赤身の力強さと柔らかさが際立っています。

なぜ再度供されたのかはわからないものの、こうしたハプニングもまた「鳥茂」らしさ。おかわりの一切れは、ありがたいサプライズとして心に残る瞬間でした。

軟骨

ここで供されたのは、コリコリとした食感が楽しい 軟骨 の串。
香ばしく焼き上げられた表面と、噛み応えのある食感が心地よいコントラストを生み出しています。

肉の旨みを残しつつ、軟骨ならではの軽さがあり、濃厚な部位が続いた後のリズムを整えてくれる存在。辛子を添えるとさらにキレが増し、酒の肴としても秀逸な一本でした。

内臓の刺身盛り合わせ

ここで供されたのは、内臓の刺身盛り合わせ
豚の胃袋とコブクロ、牛のセンマイが彩りよく並び、卵黄や薬味とともにいただきます。

コリコリと歯ごたえのあるセンマイ、しっとりとした豚の胃袋、柔らかなコブクロ。それぞれの部位が持つ食感や風味の違いが鮮明に感じられ、鮮度の高さが際立っています。

臭みは一切なく、噛むほどに広がる旨みと卵黄のまろやかさが調和し、串焼きとはまた違う臓物の魅力を体感できる一皿でした。

シロ焼き

続いて供されたのは、定番の シロ焼き
豚の大腸を丁寧に下処理し、外は香ばしく、中はぷるりと柔らかく焼き上げています。

噛むほどに脂の甘みと旨みがじわりと広がり、レモンを絞れば爽やかに引き締まる。辛子を添えるとさらにキレが増し、シンプルながらも奥深い味わいを楽しませてくれる一本です。

串焼きの王道として、やはり欠かすことのできない存在でした。

キャビアおにぎり

コースの締めに登場したのは、贅沢な キャビアおにぎり
艶やかに炊き上げられた白米を香ばしい海苔で包み、その上にキャビアをのせた一口サイズのご飯ものです。

塩気の効いたキャビアが米の甘みを際立たせ、シンプルながらも特別感のある味わい。串焼きや肉料理の余韻をそのまま引き受けながら、すっと満足感を残してくれる締めの一品でした。

雑炊(締め)

コースの最後は、数種類の中から好みで選べる〆料理。今回は 雑炊 を選択しました。
鶏や豚の旨みが溶け込んだ出汁にご飯を合わせ、仕上げに海苔と胡麻を散らした一杯は、優しい味わいながらもしっかりと余韻を残してくれます。

濃厚な串焼きや肉料理のあとにいただくと、胃をすっと落ち着かせてくれる存在。最後まで計算された流れの中で、ほっと息をつける締めの一皿でした。

まとめと感想

新宿の老舗「鳥茂」でいただいた大将おまかせコース。
お通しの玉ねぎとガツから始まり、名物のレバー串やシロ、粗挽きのつくね、さらにサーロインやシャトーブリアンといった和牛まで、串焼きの枠にとどまらない展開が続きました。

途中で挟まれる漬物やすき焼き仕立ての黒豚バラ、鮮度の高い内臓刺身などがコース全体に緩急をつけ、看板料理である「ピーマンの肉詰め」はやはり印象的。炭火の香ばしさと肉汁が詰まった一本に、この店の歴史と矜持を感じました。

店内はワイワイガヤガヤとした活気に満ち、スタッフもお客さんも多く、入れ替わり立ち替わり人が絶えません。昔ながらのスタイルを今の大将がしっかり継承しつつ、進化を交えながら盛り上げている様子が印象的でした。

派手な演出ではなく、一品ごとの積み重ねで満足感を築いていく。
長く愛され続けてきた理由を改めて実感できる一夜でした。

予約とアクセス情報

予約方法
  • 電話予約:03-3379-5188。11:00以降に問い合わせ可能と記載があります。

  • オンライン予約:AutoReserveで受付あり。

  • 注意点:非常に人気のため、事前の予約が推奨されています。また臨時休業や席の混雑があるため、当日は時間に余裕を持って連絡・訪問するのが安心です。

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アクセス情報
  • 住所:東京都渋谷区代々木2-6-5。

  • 最寄り駅:JR「新宿駅」南口より徒歩約2分(小田急・京王線なども南口からアクセス可)

  • 駐車場:なし。公共交通機関利用推奨。

営業時間/定休日
  • 営業時間:月・火・水・木・金・土 17:00〜00:00が基本。
    なお、別情報では「17:00〜翌1:00(L.O.24:00)」との記載もあります。

  • 定休日:日曜日(祝日や臨時休業の可能性あり)

予約のベストタイミング

鳥茂は平日・週末ともに常に混雑する人気店で、特に 19時前後は予約が集中 します。
もし希望の時間帯がある場合は、
1〜2週間前の予約 がもっとも確実。

一方で、

  • 早い時間(17:00〜18:00)

  • 21:00以降

は比較的予約が取りやすい傾向があります。
直前でも空きが出る場合があるため、当日でも一度電話で問い合わせる価値はあります。

おすすめの席

鳥茂をしっかり楽しむなら、
焼き場が見える1階カウンター席 が一番のおすすめ。

炭火の香り、焼きの音、スタッフのリズム感が伝わり、
“老舗の現場感” をそのまま味わえる場所です。

逆に、

  • ゆったり話したい

  • グループでの来店
    という場合は 2階のテーブル席 が向いています。

混雑状況の傾向
  • 平日でも満席になることが多い

  • お客さんの入れ替わりがひっきりなしで、
    常にワイワイとした活気がある

また、店の性質上、
20時前後は最も混み合い、料理の提供も少しゆっくりめになることがある ため、
落ち着いて食べたい人は早めの時間帯がベターです。

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