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味あら井について
コンセプト
味あら井は、大分県中津市に位置し、九州各地の上質な食材を活かした「九州割烹」を提供する日本料理店です。
地元の漁師や生産者から直接仕入れる新鮮な魚介類やジビエなど、季節ごとの最良の食材を使用し、その持ち味を引き出す料理を提供しています。
また、荒井氏は若手作家の器を積極的に採用するなど、地元との繋がりを大切にし、地域全体で美味しいものを作り上げる姿勢を持っています。
このように、味あら井は九州の食材の魅力を存分に伝える料理と、地元との深い繋がりを大切にしたおもてなしで、訪れる人々に特別な食体験を提供しています。
荒井寛義大将
店主の荒井寛義氏は、祖母が魚の行商をしていた影響で幼少期から料理に親しみ、高校生の頃から和食の道を志しました。専門学校卒業後、福岡・西中洲の「喜家」で約9年間修業を積み、2011年9月に地元・中津市で「味あら井」を開店しました。
レストランの評価
大分県中津市にある日本料理店「味あら井」は、「ミシュランガイド熊本・大分 2018 特別版」で一つ星を獲得し、「ゴ・エ・ミヨ 2024」では15.5/20の評価を受けています。 また、食べログの「The Tabelog Award 2025」でBronzeを受賞し、「日本料理 WEST 百名店 2023」にも選出されるなど、高い評価を得ています。九州の豊かな食材を活かした「九州割烹」として、その質の高さと独自性が広く認められています。
ダイニングプレリュード
外観・エントランス
大分県中津市の住宅街にひっそりと佇む「味あら井」は、上品で落ち着いた外観が特徴です。エントランスには、シンプルで趣のある暖簾が掛けられ、訪れる人々を静かに迎え入れます。店内に入ると、しっとりと落ち着いた雰囲気の和空間が広がり、カウンター席や掘りごたつ式の個室が用意されています。
ダイニングスペース
ダイニングスペースは、スタイリッシュな和の空間。カウンター席は8席あり、料理人の技を間近で楽しめる特等席となっています。また、2名から12名まで対応可能な掘りごたつ式の個室もあり、プライベートな空間でゆったりと食事を楽しむことができます。
メニュープレゼンテーション
「味あら井」では、その日の新鮮な食材を使用したおまかせコースを提供しています。例えば特大サイズの鮑や伊勢海老など、地元九州の旬の食材が登場することもあります。 また、料理の提供前に食材を見せてくれることもあり、食材の質や鮮度を直接確認できる楽しみがあります。 これにより、料理への期待感が高まり、食事の時間がより特別なものとなります。
実際に味わったお料理
赤海鼠(あかなまこ)
コースの始まりは、地元・中津で獲れた赤海鼠(あかなまこ)。
コリコリとした独特の歯ごたえと、磯の香りが豊かに広がる一品。仕上げには、おろし大根と刻み葱を添え、爽やかな辛味とさっぱりとした風味が加わることで、海鼠の旨味を引き立てる。
シンプルながらも、食材の持つ個性をダイレクトに感じられる一皿で、コースの始まりにふさわしい滋味深い味わい。
百合根の茶碗蒸し/菜の花の蕾/ゴンドウクジラの皮の餡
滑らかで優しい甘みのある百合根の茶碗蒸しに、菜の花の蕾をあしらった一品。
茶碗蒸しの上には、ゴンドウクジラの皮を使った餡がかけられており、とろっとした独特の食感と深い旨味が加わる。
クジラの皮から出るコラーゲンのようなとろみが、茶碗蒸しと絡み合い、一口ごとに奥行きのある味わいを楽しめる。
ミンククジラの畝須/生姜醤油
繊維質の食感と脂の甘みが特徴的なミンククジラの畝須(うねす)を、薄くスライス。
仕上げに生姜醤油をかけ、程よい辛みと香りがクジラの濃厚な味わいを引き締める。口に含むと、脂のコクがじんわりと広がりながらも、生姜の爽やかさが後味を軽やかに仕上げる。
シンプルながら、畝須ならではの旨味と食感をダイレクトに楽しめる一皿。
本日のお刺身
お造りは、大分の豊かな海の恵みを存分に味わえる一皿で、この日は大分のとらふぐ、大分のイシガキダイ、17キロのクエ、地元のタイラギガイがラインナップされました。イシガキダイ、クエ、タイラギガイは厚切りで提供され、それぞれの魚の食感と噛むほどに広がる旨味が堪能できる。
とらふぐは、まずは特注の塩でその旨味をじっくり味わい、その後わさび、赤い柚子胡椒、刻み葱、ポン酢、お醤油などを好みで合わせ、さまざまな風味の変化を楽しめる。
シンプルながらも、鮮度の良さと職人の技が際立つ贅沢なお造りでした。
お椀
大分のアワビとハマグリを贅沢に使ったお椀。貝の旨味がじんわりと染み出した出汁が、深みのある味わいを生み出す。
添えられた野菜は、ゴボウ、人参、セリ、わかめといった季節の恵み。根菜の滋味深さとセリの爽やかな香りが、貝の旨味を引き立てる。
仕上げには、名残の花柚子を添え、優しく漂う柑橘の香りが、全体を上品にまとめている。身体に染み渡るような一杯。
カツオのタタキ
五島で獲れた10キロ超えのカツオ。
艶やかな皮目が美しく、見るからに脂が乗っているのが分かる。漁場の豊かさと、このサイズまで育つ環境の良さを感じさせる立派な個体だった。
こうして料理の前に素材を直接見せてもらえることで、実際に口にする際の期待感が高まり、味わいをより深く感じることができる。
タタキに仕上げた後、火入れした塊を見せてもらう。
契約しているお米農家さんの藁を使って炙られたもので表面はしっかりと焼き色がつき、香ばしい香りが立ち上る。
赤身のコントラストが美しく、見た目からも旨味が凝縮されているのが伝わってくる。
この火入れしたカツオは、晩白柚とともに味わう。
身は厚く、口に運ぶとたっぷりと乗った脂がじゅわっと広がり、その濃厚な旨味が一気に押し寄せる。
そこに晩白柚の爽やかな香りとほのかな酸味が加わることで、脂の甘みがさらに引き立ち、味わいに奥行きをもたらす。
噛むたびに旨味が溢れ、脂のコクと柑橘の清涼感が交差し、まさに脳天を揺さぶる旨さ。圧倒的な存在感を放つ、忘れられない一皿だった。
烏賊と雲丹
大分産のアオリイカの上に、濃厚な萩の雲丹をたっぷりとのせ、香り高い海苔で包み込む一品。
海苔のパリッとした食感の中から、ねっとりと甘いアオリイカと、濃厚な雲丹の旨味が溶け合い、一口ごとに贅沢な味わいが広がる。
この一皿は、手渡しで提供される。直接受け取り、すぐに口へ運ぶことで、素材の鮮度と風味を余すことなく楽しめる、特別なひととき。
菜の花とカラスミ
この菜の花は、先ほどの茶碗蒸しで使用した菜の花の茎の部分を活かしながら、口休めの役割を果たす一品として提供された。
シャキッとした菜の花の食感と、爽やかな苦味が、ここまでの濃厚な料理の余韻をリセットし、次の料理へとスムーズに移行させてくれる。さらに、カラスミの豊かなコクと塩気が加わることで、シンプルながらも深みのある味わいに仕上がっている。
流れの中で意味を持たせながら、素材を無駄なく活かす工夫が込められている。
お鮨
大将がシャリの入ったおひつを用意し、鮨を握り始める。先ほどカツオのタタキで提供されたものと隣り合わせの部位を使い、火入れをせずにそのまま握られた鮨。
赤身のしっとりとした食感と、たっぷりとのった脂の濃厚な旨味が口の中で一気に広がる。噛むたびに舌の上で脂がとろけ、シャリの程よい酸味と絶妙に調和。カツオの力強い風味を存分に味わえる、バランスの取れた一貫だった。
一切れ余ったとのことで、大将からおかわりをいただくことに。
思わぬ嬉しい展開に笑いがこぼれつつ、もう一度口に運ぶと、やはり脂の旨味が濃厚で、シャリとの一体感も抜群。噛むほどにカツオの持つ力強い風味が広がり、二貫目でも飽きることなく、むしろさらにその美味しさを実感する。
大将の心遣いに感謝しつつ、ラッキーな一貫をじっくりと味わった。
鮪のお鮨は、漬けてから炙るという独自の手法で仕上げられた一貫。
醤油にしっかりと漬け込んだ鮪を炙ることで、表面が香ばしくなり、炙られた醤油の風味が一層引き立つ。口に含むと、炙りの香ばしさとともに鮪の旨味がじんわりと広がり、シャリと調和する。
この技法は、お鮨屋さんからもよく質問されるというほど、他ではなかなか見られないもの。熟成と火入れのバランスを巧みに操る大将ならではの一手が光る、印象的な一貫だった。
牡蠣フライ
豊前の牡蠣をサクッと揚げた牡蠣フライに添えられるのは、胡瓜のぬか漬けと松前漬け、粒マスタードを使った自家製のタルタルソース。
ぬか漬けのほのかな酸味と発酵の深み、松前漬けの旨味、粒マスタードのピリッとしたアクセントが加わり、一般的なタルタルとは一味違う奥行きのある味わいに仕上がっている。
濃厚な牡蠣と、個性豊かなタルタルの組み合わせが絶妙な、こだわりの牡蠣フライだった。
焼き白子
とろけるようにクリーミーな焼き白子が登場。表面は香ばしく焼き上げられ、なめらかな舌触りと濃厚な旨味が広がる。
特徴的なのは、下に敷かれた餡の中に少しだけ忍ばせたシャリ。このわずかな酸味が白子の濃厚さを引き締め、味に奥行きを与えている。
さらに、ごまと山国川の青のりを合わせることで、香ばしさと磯の風味がプラス。
焼き白子のクリーミーな旨味、シャリの酸味、青のりの香りが絶妙に絡み合い、繊細ながらも印象に残る一皿となった。
牛のしゃぶしゃぶ
見事な霜降りの中津の牛を、大将が丁寧にスライスし、目の前でしゃぶしゃぶに仕立てていく。
湯気の立ち上る鍋の中で、肉がさっと色を変える瞬間に期待が高まる。
仕上がった肉は、出汁で炊き合わせた脂がじんわりと染み込み、極上の柔らかさ。噛むほどに濃厚な旨味が広がり、まろやかなコクが舌の上に心地よく残る。
出汁の香りが立つスープには、牛の旨味が溶け込み、一口飲むたびに深い味わいを感じることができる。贅沢な肉の旨味を存分に堪能できる一皿だった。
土鍋で炊き上げたご飯
食事の締めくくりに、丁寧に炊き上げた土鍋ご飯が登場。
ふたを開けた瞬間に立ち上る湯気とともに、炊きたての香りが広がる。
ふっくらとした炊き上がりで、一粒一粒が艶やかに輝いている。
真魚鰹(マナガツオ)のフライ
ふっくらと仕上げられた真魚鰹のフライ。軽やかな衣の中に、上品な脂をたたえた白身が詰まっている。
上には薄切りの玉ねぎがたっぷりとのせられ、ほのかな辛味とシャキシャキした食感がアクセントに。さらに、下には特製タレが敷かれ、フライの旨味を引き立てながら、後味をすっきりとまとめている。
味噌汁
大将自身が具がたっぷり入った味噌汁が好きだからこそ、提供される味噌汁も具沢山。
ふぐのあらをはじめとする様々な食材が使われ、それぞれの旨味が溶け出した出汁が、深みのある味わいを生み出している。
味噌の風味がしっかりと感じられながらも、仕上がりはとろっとなめらか。一口飲むごとに、食材の滋味がじんわりと広がり、体の芯まで染み渡るような温かさを感じる。
真魚鰹のフライをご飯の上にのせ、天丼風にして楽しむ贅沢なアレンジ。
デザート & フィナーレ
デザートには、大将の後輩が育てる「元気ファーム」の苺が登場。
いちご大福
その場で一から包み、目の前で仕上げていく演出が、特別感をさらに引き立てる。瑞々しい苺を、ほんのり甘い餡と、柔らかな求肥で優しく包み込む。
蕨餅
締めくくりのデザートは、とろりとした食感の蕨餅。
シンプルながら、計算された味のバランスが光るデザートで、最後の一口まで満足感に包まれる締めくくりだった。
まとめと感想
「味あら井」での食事は、単なるコース料理の枠を超えた、まるで美しい物語を紡ぐような体験だった。
大将の繊細な技と素材へのこだわりが光る一皿一皿は、どれも印象深く、料理が生まれる瞬間の緊張感や期待感までも楽しむことができた。契約農家の藁で炙ったカツオのタタキ、目の前で仕上げられる苺大福、そして具沢山の味噌汁など、どの料理にも職人の想いが込められていたのが伝わってくる。
また、食材そのものを目の前で見せてもらい、そこから料理へと変わっていく流れも、この店ならではの楽しみ方。10キロ超えのカツオを見たときの驚き、それがタタキとなり、さらに隣の部位を鮨で味わう流れは、素材を最大限に生かす和食の醍醐味を感じることができた。
締めくくりの土鍋ご飯と具沢山の味噌汁は、まさに心と体が満たされる一杯。デザートの蕨餅まで抜かりなく、最後のひと口まで大切に味わいたいと思わせる料理だった。
細部に宿るこだわり、そして大将の温かいおもてなしに触れながら、大分・中津という土地の恵みを五感で味わう、特別なひとときだった。
予約とアクセス情報
予約方法:
ご予約は、以下の方法で承っております。
電話予約:店舗の電話番号にて直接ご予約いただけます。
オンライン予約:予約サービス「OMAKASE」を通じて、オンラインでのご予約が可能です。
アクセス情報:
住所:大分県中津市上博多町2001
最寄り駅:JR日豊本線 中津駅から徒歩約10分
駐車場:駐車スペースがございます。
営業時間:
2021年7月より、以下の通り一斉スタートの2部制となっております。
カウンター席:16:00~、19:00~
座敷席:19:00~
※定休日は日曜日です。
注意事項:
予約のキャンセルや変更については、キャンセル料が発生する場合がございます。詳細は予約時にご確認ください。
ご訪問の際は、事前に最新の情報を確認されることをおすすめいたします。