BISHOKU QUEST

旅先で出会った、心に残るひと皿を

『BISHOKU QUEST』は、日本各地の美食を求めて旅をするグルメブログです。
シェフのこだわりや地元食材の魅力、料理の背景にある物語を、写真と共に丁寧に綴ります。

The SG Club について

コンセプト

渋谷・神南にある「The SG Club」。
世界的に活躍するバーテンダー後閑信吾氏が2018年に立ち上げたバーで、和と洋、東京とニューヨークが交差するような物語性を持った空間が広がっています。

The SG Club の根幹にあるのは、「もしも幕末の侍たちがアメリカでバー文化に触れ、日本にその体験を持ち帰って店を開いたら?」というフィクション。
その世界観をもとに、建物の各フロアに異なるテーマを持たせています。

1階「Guzzle」では、立ち飲みやテイクアウェイも可能なカジュアルなスタイル。
地下の「Sip」では、重厚な空気感の中でクラシックカクテルをゆっくりと味わうことができ、靴磨きのサービスまで備えています。
さらに2階「Savor」は会員制シガーバー。シガーとカクテルのペアリングを通じて、より深い楽しみを提案してくれます。

近年は3階に「参階(Sangai)」を開き、少人数制でおまかせのカクテルコースを提供。“テロワール×テロワール” をテーマに、日本と海外の素材を掛け合わせた新しい体験を追求しています。

デザイン面でも、日本の伝統的な意匠を取り入れつつ海外のバー文化をミックス。和洋折衷を超えたストーリーテリングを空間そのものに宿しています。

バーテンダー 後閑信吾氏 について

The SG Club を率いるのは、SG Group 創設者である後閑信吾氏。
ニューヨークの名店「Angel’s Share」でヘッドバーテンダーを務めた後、2012年に「Bacardi Legacy Cocktail Competition」で世界一に輝き、その後も「International Bartender of the Year」など数々の栄誉を手にしてきました。現在は国内外でバーを展開するだけでなく、焼酎や泡盛など日本の國酒を新しい形で発信する活動にも力を入れています。

また、フロアごとに個性あるバーテンダーたちが存在感を放っています。
会員制フロア「Savor」では渡辺高弘氏がシガーとカクテルの緻密なペアリングを手掛け、地下の「Sip」では徳満亮太氏が重厚で創造的な一杯を届けます。
さらに、オープニングから携わる三田怜央磨氏など、後閑氏のビジョンに共鳴した若手も加わり、チームとして新しい挑戦を続けています。

お店の評価

The SG Club は、国内外で高い評価を受けてきたバーのひとつです。
2020年には「The World’s 50 Best Bars」で世界第10位に選ばれ、同年と翌年には「The Best Bar in Japan」として表彰。2021年には「Asia’s 50 Best Bars」で第3位を獲得し、日本を代表するバーとして国際的な舞台で存在感を示しました。
直近の2024年には「Asia’s 50 Best Bars」で23位にランクインしており、開業から数年経った今もトップクラスの評価を維持しています。

ダイニングプレリュード

外観・エントランス

渋谷・神南の路地を少し入ったところに佇む The SG Club は、遠目から見ると「バー」というよりも、古い建物を改装した趣のある佇まい。自然にエイジングされたファサード(外壁や窓枠、看板)で、ひっそりと渋谷の街に馴染んでいます。

入り口周辺は派手さを抑えており、「入口が控えめ」であることが意図されているようです。店の看板は主張しすぎず、通行人が“偶然見つける”ような雰囲気があります。

外にテイクアウトコーナーや外席が設けられていたり、1階部分は外からの光が差し込むつくりになっていて、昼間はその落ち着いた素材感が伝わるようになっています。夜になると照明が落ち、入口をくぐると“夜の街の入り口”としての空気に切り替わります。

入口ドアを入ると、階段が見える構造で、地下階や上階のフロアを案内する導線が意識されています。地下には“靴磨きコーナー(シューシャインブース)”が入口近くに設けられており、到着してからゆったり心を切り替えるための仕掛けとして機能しているのが印象的です。

ダイニングスペース

The SG Club は予約制のフロアもありますが、1階や地下は基本的に予約ができないスタイル。その日は直接お店に向かったところ、すでに満席で、入口前には数人の列ができていました。とはいえ回転は早く、ほどなくして案内されることに。今回は地下の「Sip」で過ごすことになりました。

地下へと続く階段を下りると、街の喧騒がすっと遠ざかり、重厚で落ち着いた空気に包まれます。照明は抑えめで、木材や革を基調にしたインテリアが古き良きニューヨークのバーを思わせる雰囲気。

この日は店内の9割が外国人客で、会話も自然と英語が飛び交う環境。渋谷にいながら海外のバーに足を踏み入れたような感覚がありました。カウンター越しにグラスが次々と組み立てられていく様子を眺めながら、落ち着いた空気の中でゆっくりと時間を過ごせました。

  • 1階 「Guzzle」:比較的カジュアルな空間。飲み物中心ではありますが、“軽いつまみ”や食前/食後のアペタイザー的な料理メニューもあり、食べながら飲む使い方ができる。昼~夕方の時間帯には比較的ゆったりとした空気感があり、外からの光や街の雰囲気が感じられるスペースです。

  • 3階 「Sangai」:たった8席のみの完全予約制。静かに、じっくりと一杯に向き合う体験を重視した少人数空間。

    • 屋久杉とオークが随所に使われており、自然素材の温かみがある。壁面はレンガ調の箇所もあり、和の雰囲気と“異国感”が調和するデザイン。アート作品なども配置されていて、視覚的にも集中できる仕掛けがある。

    • 体験内容:おまかせカクテルコースが主体。コースは日本および海外各地から集められた素材(特にフルーツや國酒など)をメインに、数品のカクテルを順に提供。90分制または120分制など時間設定がある。食事(固形の料理)は主目的ではないが、“あてもの”のような軽いつまみもコースや追加で用意される可能性あり。

  • 地下 「Sip」:こちらは飲むことにフォーカスした“ゆっくり味わうバー”ですが、食べ物・つまみメニューもあり、飲み物とのペアリングを意識した小皿料理などを提供することも。バーとしての体験が中心。雰囲気は重厚で、静かに語らいながら過ごすのに適しています。

メニュープレゼンテーション

The SG Club の魅力は、単なるドリンクリストを超えて、空間ごとに異なる物語を描いている点にあります。フロアによってテーマが明確に分かれており、メニュー構成もそれぞれの空気感に寄り添うように設計されています。

1階「Guzzle」では、立ち飲みやテイクアウトに対応したカジュアルなカクテルが揃います。喉を潤すようにごくごく飲める仕立てで、昼間からでも肩肘張らずに楽しめるラインナップ。

地下の「Sip」は、今回案内されたフロア。ここではクラシックを基盤にしながら、和素材や遊び心を掛け合わせたカクテルが多く並びます。たとえば「Cold Soba Negroni」では蕎麦を取り入れ、苦味の奥に和の香ばしさを忍ばせています。「Fig and Sesame Negroni」「Root 75」といった一杯も、クラシックをなぞりながら独自の解釈を加えた構成で、眺めているだけでも物語を感じる内容でした。

2階の「Savor」は会員制のシガーバー。シガーの香りや吸い進める時間の流れに合わせて、味わいが変化していくペアリングカクテルが組まれています。そして3階の「参階(Sangai)」では完全予約制のおまかせコースが提供され、数杯のカクテルが料理のコースのように順を追って展開されていきます。

どのフロアも共通しているのは、「カクテルそのものが一つの体験になるように構成されている」こと。価格帯は1杯あたり2,000円前後と決して安くはありませんが、空間や接客、グラス越しのストーリーまで含めて楽しむと考えれば、その価値は十分に感じられるはずです。

渋谷にありながら、客層の多くは外国人。英語が飛び交う空間に身を置き、世界基準のカクテルを味わう時間は、東京の日常にいながら非日常を体験できるものでした。

The SG Club のメニューは、単なるドリンクリストではなく、空間の世界観と響き合う“物語の一部”として構成されています。ページを開くと、素材の組み合わせや表現の仕方にユーモアがあり、クラシックなカクテルの枠を保ちながらも、和の食材や発酵の要素を巧みに織り込んでいるのが印象的でした。

味わいはひとつひとつに仕掛けがあり、なじみのある風味に新しい感覚を加えて再解釈したもの、意外性のある食材をバランス良くまとめ上げたものなど、グラス越しに体験する“発見”が続きます。飲み手が思わず笑みをこぼすような遊び心と、背景にある技術の確かさ。その両方が支え合っていて、どの一杯もただのカクテル以上の存在感を放っていました。

地下フロアの落ち着いた空気の中でこのメニューを手にすると、選ぶ瞬間からすでに体験が始まっているように感じられます。ページをめくるごとに広がるのは、味だけではなく、文化や物語まで飲み込んだ「東京の今」を体感できるリストでした。

実際に味わった料理

一杯目:カンチューハイ

最初に選んだのは「カンチューハイ」というカクテル。名前の通り、誰もが知る缶チューハイから着想を得ている一杯ですが、そこに込められた要素は驚くほど緻密でした。

ベースにはカンパリやベルガモット、紫蘇やベチバーといったハーブやスパイスが重なり、さらにミードやアールグレイのコンブチャが加わることで、親しみやすさの奥に複雑な香りが立ち上がります。口に含むと、最初の軽快さから徐々に重層的な苦味や清涼感が広がり、普段の缶チューハイとはまったく異なる体験へと変わっていきました。

誰もがイメージできる“チューハイ”を出発点にしながら、素材を積み重ねて別の景色へと導いていく。まさにこの店らしい遊び心と技術の両立を感じる一杯でした。

二杯目:自然派不自然派ワイン ’23

続いて選んだのは「自然派不自然派ワイン ’23」。名前の通りワインを思わせる一杯ですが、その中身はまったく別物でした。

ボンベイサファイアに発酵させた青リンゴを組み合わせ、さらにグレープフルーツやマテ茶を重ねることで、白ワインのように軽やかで酸を感じさせつつも、発酵のニュアンスとハーブの深みが広がります。口に含むと、まるでナチュラルワインを飲んでいるような錯覚を覚えながらも、確かにカクテルとしての輪郭が立っている不思議な感覚。

“自然派”と“人工的”の境界を行き来するような発想が、そのまま味わいにも落とし込まれていて、ただ美味しいだけではなく、飲む人に問いかけるような一杯でした。最初の「カンチューハイ」が親しみやすさを再構築したものだとすれば、この二杯目は既成概念を軽やかに裏切る体験だったと言えます。

まとめと感想

渋谷の地下で過ごした時間は、単なる一夜の飲酒ではなく、世界のバーシーンと地続きにある体験でした。
一杯ごとにテーマや仕掛けが込められ、親しみやすさと奥行きを兼ね備えた構成。最初の一杯で日常を再解釈させ、次の一杯で常識を揺さぶる。その流れが自然に組み立てられていて、飲む人の感覚を広げていきます。

店内は外国人客が圧倒的に多く、英語が飛び交う雰囲気も相まって、ここが東京であることを忘れるほど。渋谷の街にありながら、国際的な舞台の一角に座っているような感覚を味わえました。

数々のランキングで上位に名を連ねるのも納得で、世界が認める一軒が東京の真ん中にあるという事実は誇らしくすら感じます。The SG Club は「世界的なBAR」という言葉にふさわしい存在であり、その空間に身を置くことで、国や文化を超えて共有されるバーの魅力を実感できました。

予約とアクセス情報

予約方法
  • 地下フロア「Sip」(B1F)に関してのみ、オンラインで予約可能。

  • 予約枠は18:00または19:30スタートが主。

  • 当日の電話での予約は不可。

  • カウンター席予約は最大2名まで。6名以上のグループは予約不可となっていることが記載されています。

  • 予約時間に15分以上遅れるとキャンセル扱いとなる可能性あり。

  • 予約が満席の場合、姉妹店「The SG Tavern」の案内がされる場合あり。

  • 予約をせず直接来店する「ウォークイン」も可能とするレビューあり。ただし混雑時は待ち行列あり。

ポイント:地下「Sip」を確実に利用したい場合は、上記オンライン予約がベスト。予約が取れなければ、1階「Guzzle」などウォークインで様子を見るのも一案です。

アクセス情報
  • 住所:東京都渋谷区神南1-7-8 150-0041

  • 最寄り駅:渋谷駅から徒歩約8分。

  • 建物は神南の路地にあり、少し奥まった場所なので、夜訪問の際は周囲の目印(看板・ビル番号)を確認すると安心です。

営業時間
  • 1F「Guzzle」:15:00~2:00(※金曜・土曜・祝日前は〜3:00)

  • B1F「Sip」:18:00~2:00(※金曜・土曜・祝日前は〜3:00)

  • 全体として“日~木:~2:00、金土祝日前:~3:00”というパターンが多く見られます。

  • 年末年始など時間が変動することもあるため、訪問前に公式Instagram等で最新告知を確認することをおすすめします。

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「知られざる美食の旅へ—心と五感で味わう特別なひとときを」

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地元の食材を活かした料理、シェフのこだわりが詰まった隠れ家的なレストラン、食を通じて地域の文化や歴史を体験できる場所を厳選してご紹介。
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