CONTENTS
しろについて
コンセプト
「しろ(shiro)」は、シェフの竹中厚志氏が2024年8月に京都・烏丸御池エリアに開業したレストランです。竹中氏は島根県浜田市出身で、地元の食材を活かした料理で知られています。店名の「しろ」は、無垢や純粋さを表す色であり、白い空間が清々しく、余白を残す盛り付けに思いを宿しています。
竹中 厚志シェフ
竹中 厚志シェフは、大学卒業後、企業に勤めながらイタリア料理の修行を続け、24歳で料理人に転身された異色の経歴をお持ちです。
その後、島根県浜田市にイタリア料理店「Mia paese(ミア・パエーゼ)」を開業し、地元の新鮮な食材を活かした独創的な料理で高い評価を得ました。
2024年8月、さらなる飛躍を目指し、京都・烏丸御池に新たなレストラン「しろ」をオープンされました。
この店舗は、島根と京都の厳選された食材を融合させたおまかせコースを提供しています。
竹中シェフの料理は、イタリアンをベースに和やフレンチの技法を取り入れたジャンルレスな一皿が特徴で、素材本来の味わいを大切にし、シンプルながらも深い味わいを追求されています。
また、JR西日本が運行する豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレス みずかぜ)」の料理監修を担当され、「ふるさとの上質さ」をテーマに、山陰地方の自然の恵みを活かした一皿を提供しています。
レストランの評価
竹中厚志シェフが手掛けたレストラン「Mia paese(ミア・パエーゼ)」と「しろ(shiro)」は、いずれも高い評価を受けています。
島根県浜田市にあった「ミア・パエーゼ」は、食べログイタリアンWEST百名店2023にも選出されフランス発のレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」にも掲載されました。
2024年8月に京都・烏丸御池エリアにオープンした「しろ(shiro)」は、開店から間もない同年11月、ミシュランガイドの「セレクテッドレストラン」に選出され、その独創的な料理と洗練された空間が高く評価されています。
ダイニングプレリュード
外観・エントランス
「しろ(shiro)」は、京都市中京区の文化複合施設「IDO KYOTO」の2階に位置するレストランです。
外観は、伝統的な京町家の趣を感じさせる落ち着いたデザインで、周囲の景観と調和しています。
エントランスはシンプルながらも洗練されており、訪れる人々に静謐で特別な空間への期待感を抱かせます。
また、施設内には井戸が設けられ、大地から湧き出る水を各店舗で使用するなど、細部にまでこだわりが感じられます。
ダイニングスペース
「しろ(shiro)」のダイニングスペースは、白を基調としたシンプルで洗練されたデザインが特徴です。無垢素材の家具が配置され、温かみのある雰囲気を演出しています。
カウンターは6席あり、フルオープンのキッチンを囲む配置となっており、ライブ感あふれるシェフの調理風景を間近で楽しむことができます。
カトラリー置きに使われている金属の棒は、実は活版印刷で使用される「鉛活字」。
長年使われた金属ならではの風合いが、レストランの静謐な空間に馴染む。
メニュープレゼンテーション
メニューには、ヨロイイタチウオ、山くじら、宿儺南瓜(すくなかぼちゃ) など、珍しい食材が記載されており、文旦や柑橘類など、冬らしい爽やかな果実がアクセントになっています。
「しろ」での食事は、単に料理を楽しむのではなく、その場の空気や余韻を含めたトータルな体験。
「なにもないのに、なにかを予感させる」という言葉の通り、
食べることの本質に立ち返りながら、一皿ごとに新たな気づきを得る時間が待っています。
スタータードリンク
スタータードリンクとして提供されたのは、Leonce d’Albe Blanc de Noirs(レオンス・ダルト ブラン・ド・ノワール)というシャンパーニュ。
実際に味わった料理
菊芋 銀杏
IDO KYOTOの地下水を使用した「しろ(shiro)」らしい素材の味を最大限に引き出すシンプルな構成が光るスープ。
枕崎産の鰹節と北海道産の2年囲い真昆布を使用。
1番出汁と2番出汁を合わせた「1.5番出汁」 という独特の手法で、昆布の旨味と鰹の芳醇な香りが調和。
この出汁をベースに、菊芋の滋味深い甘さと銀杏のほろ苦さを引き立てる。
大穴子 プロシュート
島根県・大田港の大穴子を使用した一皿は、西日本の豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」でも提供される特別な料理。
穴子特有の骨を繊細に処理(骨切り)し、ふんわりとした食感に仕上げ、薄くスライスした黒豚の生ハムをトッピング。
フリットの熱で生ハムの脂がじんわり溶け、香りとコクが広がる演出。
ヨロイイタチウオ 蕪
ヨロイイタチウオ(鎧銀宝) は、皮が硬く鎧のような見た目が特徴の深海魚。
京都の蕪と蕪の葉、香草とともに蒸し上げることで、野菜の甘みと魚の旨味が溶け合う。
イタリア料理の「アクアパッツァ」を独自のアレンジ。
魚や貝、セミドライトマト、にんにく、オリーブ、ケッパーなどを煮詰め、裏ごししてエッセンスだけを抽出。
とろみをつけたソースを仕上げに流し込み、魚介の凝縮した旨味をソースとしてまとわせる。
ここからペアリング再開
日本酒 「鳴海(なるか) 純米吟醸 無濾過生原酒」。
千葉県にある 東灘醸造 が醸す、しっかりとした味わいとフレッシュな風味が特徴の純米吟醸酒。
山くじら カーボロネロ 赤山椒
島根県美郷町の猪(山くじら)をじっくり煮込み、野菜と山椒の香りをまとわせた冬の恵みを感じる一皿。
山椒の余韻が心地よく、食材それぞれが持つ特性を活かしながら、洗練された組み合わせに昇華している。
オーストラリアの自然派ワイン「LATTA Rattlesnake Blanc Contact 2021(ラッタ・ラトルスネーク ブラン・コンタクト 2021)」
オレンジワインの複雑な香りが、赤山椒の余韻をより長く感じさせる。
鮟鱇 白ネギ タリオリーニ
タリオリーニは細めの手打ちパスタで、ソースがしっかり絡む形状。
島根県浜田港で獲れたゼラチン質豊富な鮟鱇を、あさりの出汁でじっくり炊いた亀岡産の白ネギと合わせ、手打ちのタリオリーニと絡める。仕上げに浜田の完熟酢橘を削り、香ばしく炒めた豆苗をのせることで、爽やかな香りと奥行きをプラス。
タリオリーニの食感 × 炒めた豆苗の香ばしさ というコントラストが加わり、
シンプルながらも奥深い余韻を楽しめる仕上がりになっている。
この一皿にペアリングされているのは、Cinque Terre(チンクエ・テッレ)2021。
リグーリア州の海沿いで造られる、ミネラル感と爽やかな酸が際立つ白ワインです。
宿儺南瓜 リコッタ トルテッリ
甘みの強い宿儺南瓜を焼いてリコッタと合わせたトルテッリに、クリーミーなゴルゴンゾーラソースと、トリュフの香る肉の濃厚な出汁を重ねた、香りと旨味の層を楽しむ一品。
このコースの中で最もお気に入りの一皿です。
この一皿にペアリングされているのは、Ezio Trinchero Rosso del Noce III(エツィオ・トリンケーロ ロッソ・デル・ノーチェ III)。
ピエモンテ州の自然派ワインで、熟成した果実の甘みとスパイス感、心地よい酸が特徴の赤ワインです。
動物性油脂を使わず、自然の素材の力を活かしたビーガン仕様のパン。
ソースが美味しくてスカルペッタが止まらない
甘鯛 蕪 文旦
浜田港の釣り甘鯛を使い、鱗焼きで仕上げた繊細な料理。
パリッと香ばしく焼き上げた甘鯛の皮目と、レア気味の身の対比が美しく、そこに蕪のシート、
ほのかな苦味を持つ文旦のソース、九条ネギのオイルが加わることで、食感・香り・味わいが幾重にも重なるバランスの取れた一皿となっている。
この一皿にペアリングされているのは、Cave d’Occi(カーブドッチ)の白ワイン。
新潟のワイナリー「カーブドッチ」が造るナチュラルワインで、ミネラル感とフルーティーな酸味が特徴です。
熟豊ファームより
熟豊ファームさんの「サスティナブル和牛 熟」経産牛のフィレを使用した、炭火で香ばしく焼き上げ、肉本来の旨味を最大限に引き出す火入れ。
ソースや付け合わせも計算され、スパイシーさ・甘み・香り・酸味が織りなすバランスが魅力的。
炭火焼きの経産牛フィレにペアリングされているのは、イタリア・ラツィオ州の土着品種「チェザネーゼ・デル・ピリオ」を使った「Priore Vignali 2017」。
イタリア中部の個性的な赤ワインで、スパイシーさと酸のバランスが特徴的な一本。
デザート & フィナーレ
発酵ミルクと檸檬
「発酵」をテーマにしたデザートで、発酵ミルクを使ったパンナコッタと、発酵檸檬のジャム、さらに亀岡のフェイジョアのシロップを合わせた、爽やかで奥深い味わいの一皿。
内藤農園の柑橘 カモミール
焼きたてのクレープの香ばしさと、柑橘の華やかさが引き立てあい、最後にオレンジリキュールの温かいソースが全体を包み込む、まさに味覚と温度のコントラストが美しい一品。
Cafe 小菓子
コースの締めくくりを飾る小菓子として、「ビスコッティ」「ポルボロン」「煎茶のマカロン」の3種が提供。
じっくり焼かれたビスコッティはそのままではハードだが、お茶や紅茶に浸すとしっとりと優しい口当たりに。
イタリアでも定番の食べ方だそう。
まとめと感想
「しろ」の料理は、島根の豊かな食材と文化を受け継ぎながら、京都という新たな舞台で進化を遂げた、竹中シェフの新たな挑戦そのものだった。
島根・浜田港の鮮魚、熟豊ファームの経産牛、亀岡の九条ネギや菜の花。
地元の生産者と深くつながることで生まれる、「素材の力を最大限に生かした料理」が、シンプルながらも奥深い味わいを生み出していた。
そんな料理を引き立てるのが、京都・IDO KYOTO という空間の静けさと洗練された佇まい。
島根から京都へと舞台を移し、新たな表現を追求する竹中シェフの挑戦が、「しろ」の世界観をより一層深めていた。
「白」は、何もない色ではなく、無限の可能性を秘めた色。
余計なものを削ぎ落としながら、素材の本質を際立たせる。
料理を通して感じたのは、そんな「余白の美しさ」と「調和の妙」だった。
島根の食材 × 京都の空間 × 竹中シェフの新たな挑戦。
この場所だからこそ生まれる、静かで洗練された食の世界が、また訪れたくなる余韻を残してくれた。
予約とアクセス情報
予約方法:
ご予約は、食べログ、一休、TableCheckのウェブ予約システムをご利用いただくことをおすすめします。
1名様でのご予約の場合は、公式ホームページからメールにてお問い合わせください。
アクセス情報:
住所: 京都府京都市中京区室町通二条下ル蛸薬師町287 IDO 2F
最寄り駅: 地下鉄烏丸線 烏丸御池駅から徒歩約3分
営業時間:
水・木・金曜日: 18:30 一斉スタート(18:15 開場)
土・日曜日: 12:00 一斉スタート(11:45 開場)および 18:00 一斉スタート(17:45 開場)
定休日: 月曜日・火曜日
注意事項:
当店では一斉に食事がスタートします。予約時間に遅れた場合、全ての料理をご用意できない場合がございます。
季節の食材を使用したメニューを構成しているため、アレルギーや苦手食材による内容変更は基本的に受け付けておりません。
お料理は旬の食材を使用するため、2ヶ月を通して少しずつ変わっていきます。お料理の重複が気になるお客様は、ご来店から2ヶ月以上空けてのご予約をお願いします。
詳細や最新の情報については、公式ホームページをご確認ください。