CONTENTS
L’Unique labo(リュニック・ラボ) について
コンセプト
福岡・春吉のリバーサイドに佇む「L’Unique labo(リュニック・ラボ)」は、わずか8席の完全予約制カウンターフレンチ。
店名の “L’Unique” は「唯一無二」、 “labo” は「実験室」を意味し、その名の通り、フランス料理という枠の中で新たな表現を探り続ける実験的な空間です。
舞台のように設計された店内は、かつてチャペルだった場所をリノベーションしたもの。天井高6mを超える白基調の空間に、スイスのデザイン集団 atelier oï による曲線的な照明と木の質感が重なり、非日常の静けさをつくり出しています。
コースは「Menu L’Unique」一本のみ、全11皿で構成。約2ヶ月ごとに内容が変わり、すべての皿にフルーツ・ハーブ・エディブルフラワーを組み合わせることで、香りや彩りの変化を楽しめる構成になっています。
九州各地の旬の素材を軸に、フランスで磨いたクラシック技法を融合させるスタイル。
料理はもちろん、調理音や香り、ワインの温度、光の角度までもが計算され、まるでひとつの“演出”として体験が完成していく。
「食事というより、ひとつのステージを観るような時間」。その没入感こそが、この店が福岡で特別な存在として語られる理由です。
【シェフ: 濵野 雅文(Masafumi Hamano)】
福岡県糸島市のトマト農家に生まれた濵野雅文シェフ。
自然と共にある暮らしの中で、旬の恵みを食卓にのせる感覚を幼少期から身につけたといいます。
中村調理製菓専門学校を卒業後、東京「ラ・ロシェル」で8年半研鑽を積み、フレンチの基礎と構築力を徹底的に学びました。
2004年に単身で渡仏。リヨン、ロワール、ブルゴーニュの各地で修行を重ねたのち、ブルゴーニュ地方のサン=タムール=ベルヴューにて自身のレストラン 「Au 14 Février Saint-Amour-Bellevue(オー・キャトーズ・フェヴリエ)」 を開業。
その店は2014年にミシュラン一つ星、2018年に二つ星を獲得し、フランス国内でも注目を集める存在となりました。
クラシックを重んじながらも、食材の香りと構成力で現代的な表現を追求する姿勢が、高く評価されています。
20年に及ぶフランスでの経験を経て2023年に帰国し、
福岡・春吉のリバーサイドに「L’Unique labo」を開業。
ここでは、オーナーシェフとしてメニュー開発から厨房の統括、空間演出、食材の選定に至るまで全体をディレクションしています。
店舗は 「ホテル イル・パラッツォ(HOTEL IL PALAZZO)」 内に位置し、かつてチャペルだった場所をリノベーションした、非日常的な舞台空間。
濵野シェフの料理には、フランス時代に培った構築的な皿づくりと、九州の自然へのまなざしが共存しています。
「メインから逆算してコースを設計する」という哲学のもと、香り・酸味・火入れのバランスで流れを組み立て、
フルーツやハーブ、エディブルフラワーを使ってワインとの調和を導く。
糸島の生産者や九州の素材への敬意を軸に、
“時間そのものを味わう”体験を提供する──
それが、濵野シェフがこの地に帰ってきた理由であり、L’Unique laboが掲げる美学でもあります。

レストランの評価
L’Unique laboは、フランス発の世界的レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ(Gault&Millau)」の日本版最新号『ゴ・エ・ミヨ 2026』(2026年3月17日発刊、日本版第10号)に掲載され、16/20点、3トック(「素晴らしいレストラン」評価)を獲得しました。全国47都道府県581店舗が掲載される中での評価であり、2025年9月開業という新しさを考えると異例の早さでの掲載といえます。
前述のとおりオーナーシェフの濵野雅文氏は、来日前のフランス・ブルゴーニュ地方における自身のレストラン「Au 14 Février Saint-Amour-Bellevue」で、2018年から2023年までミシュランガイドにて二つ星を6年連続で獲得しており、その実績が今回の評価にもつながっていると考えられます。

ダイニングプレリュード
外観・エントランス
春吉のリバーサイドに建つ ホテル イル・パラッツォ。
その一角、かつてチャペルとして使われていたスペースへと向かうアプローチの先に、L’Unique labo は静かに佇んでいる。
外観はホテルの洗練された建築に自然に溶け込み、レストランとしての主張は控えめ。
エントランスには大きな看板もなく、光の入り方と建築のラインだけで空気が変わる。
扉に近づくにつれ、ホテルのざわめきがすっと遠ざかり、レストランのための静かな空気が立ち上がるのがわかる。
ガラス越しに柔らかい光が漏れ、内部の白と木のトーンがぼんやり見える程度。
“ここから先はひとつの舞台へ向かう入り口” という印象で、過度な演出はないのに、足を踏み入れる前から緊張感と期待が同時に立ち上がる。
場所柄のアクセスの良さとは裏腹に、入口の静けさは特別な時間の始まりを予感させる。
ホテルの一室ではなく、「この空間のためだけに用意された場所」であることが、一歩手前の雰囲気から自然と伝わってくる。

ウェイティング・ダイニングスペースについて
扉を開けて最初に迎えてくれるのが、柔らかい曲線で包み込むように設計されたウェイティングスペース。
白を基調とした空間にアーチ状のラインが重なり、静かなトンネルの中に入ったような感覚になる。
奥にはワインセラーと料理書の棚が並び、レストランというより“美術書のある小さな書斎”のような雰囲気。
この場所で席が整うのを待つ時間さえ、コースのプロローグとして丁寧に設計されているのが伝わってくる。

【ウェイティング中のひと皿】
席へ案内される前、ウェイティングスペースでは小さなアーモンド菓子がそっと供される。
ガラスの器に少量だけ――その控えめな量がむしろ、この後に続くコースの集中を邪魔しない“序章”としてちょうどいい。
砂糖の衣をまとったアーモンドは軽やかな甘さで、口の中をふっと整えてくれる。
このタイミングで、スタッフから「何かドリンクを召し上がりますか?」と穏やかに声がかかる。
強く勧めるニュアンスはなく、あくまでゲストのリズムに寄り添う形。
ウェイティングの時間を単なる“待ち”ではなく、レストランの空気になじむための短い助走として扱っているのが伝わる。
このわずかなやり取りと一口のお菓子で、外から連れてきた気配がすっと落ち着き、
これから始まるコースへの意識が自然と整っていく。

ダイニングは、厨房に向かって緩やかに弧を描く8席のカウンター。
中央には大きな照明が浮かび、その下で料理が静かに組み立てられていく。
客席とキッチンの距離が驚くほど近く、素材の香り、火にかけた瞬間の音、皿の温度がそのまま届く。
“オープンキッチン”という言葉よりも、舞台袖と客席の境界が曖昧な小劇場のような印象に近い。
座り心地の良い椅子が円形に並び、8人全員が同じ方向を向く構造になっているため、
料理の流れを全員が同じ温度で体験することができる。
照明は天井や壁に柔らかく反射するだけで、派手な演出はない。
その代わり、料理が置かれた瞬間の色や香りが自然に浮かび上がるよう計算されている。
ウェイティングからダイニングへ移る導線がとても滑らかで、入店から席につくまでの間に、外の空気がすっと抜け落ちていく。
“ここは料理を食べる場であり、ひとつの体験を始めるための装置でもある” という意図が、空間の端々から静かに伝わってくる。



メニュープレゼンテーション
L’Unique labo のメニュー表には、糸島在住の画家・宮田ちひろさんが描いた一枚絵が添えられている。
季節ごとに変わるコースに合わせ、2か月に一度、新しい作品を描き下ろしてもらうという。
窓枠のようなアーチの中に広がる糸島の風景は、店の世界観を静かに象徴していて、手に取った瞬間にコースの始まりを予感させる。
料理において特徴的なのが、すべての皿にフルーツを組み込むという構成。
「香り」「酸と甘味のバランス」「ワインとのつながり」を意識した濵野シェフならではのアプローチで、素材そのものの輪郭を崩さず、皿全体のまとまりを生むためのキーとしてフルーツが機能している。
アミューズから前菜、魚、肉、デザートまで、フルーツの入り方は皿によって異なる。
果汁で香りを補い、ピュレで食感を整え、皮やハーブと組み合わせて余韻を描く──
加え方に明確な理由があり、コースが進むほどその “役割の変化” が分かってくる構成になっている。
メニューの入れ替わりに合わせて描かれる宮田さんの絵と、2か月ごとに刷新されるコース。
視覚と味覚、二つの季節が同じリズムで更新されていくのが、この店らしい魅力になっている。

実際に味わった料理
【Mignardises salées:食前のうれしみ】
コースの幕開けは、小さな “ひと皿” ではなく、いくつもの要素をまとめたミニャルディーズのセットから始まった。
それぞれ味も香りも方向性が異なりながら、濵野シェフが組むコースの世界へ誘導するための役割をしっかり担っている。

ポルチーニ茸の焼き菓子
まずひとつめは、ふわりと香るポルチーニの焼き菓子。
甘さは抑えめで、茸の香りが静かに立ち上がる。
“焼き菓子で始まる” という意外性がありつつも、口に入れるとコースの入り口らしい軽さがある。

オリーブと生ハムのマドレーヌ × ぶどうジュース
小さな自転車のオブジェに乗って登場するマドレーヌ。
上には透明のスポイトが挿さっていて、中にはぶどうジュース。
食べ方は、「まずマドレーヌを丸ごと口に含んでから、スポイトを押し込んでください」と案内される。
マドレーヌの温かみのある塩気に、ぶどうの甘酸っぱさがじわっと広がり、
ひと口の中で“前菜”ではなく“はじまり”のニュアンスが生まれる構造になっている。

2種類のマカロン
ガラスケースの上に、あずき豆を敷き詰めてディスプレイされた2種のマカロン。
1. 黄色(カレー × ペコリーノ)
案内された順番ではこれを最初に。
カレーのスパイス感が香り、ペコリーノの塩気としっかり噛み合う。
甘さ控えめの構成で、意外にもワインや酸味のあるドリンクとの相性が良い。
2. ピンク(バラ風味 × 糸島豚リエット)
見た目は完全に甘いお菓子だが、中には糸島豚のリエット。
バラの華やかな香りと、豚の旨みがひと口の中で静かに共存し、
ここでようやく“サレ(塩味のミニャルディーズ)”としての意図が腑に落ちる。
塩味・甘味・スパイス・香り。
方向の異なる要素が次々と現れながらも、重たくならないバランスがとても上手い。
小さな菓子の集合体でありながら、コースのテーマである「香り」「グラデーション」「フルーツの扱い」への導入として、しっかり機能していた。

【Préludes:はじまりの頃(3種のアミューズ)】
ミニャルディーズで感覚がほどけたあと、
続く“はじまりの頃”は、方向の異なる三つのアミューズで構成されていた。
どれも小さなサイズながら、香り・温度・食感の立ち上がりが明確で、
このコースが「フルーツを軸にしたグラデーション」で組まれていることが、ここで一気に輪郭を帯びてくる。

宮崎産竹炭のアメリカンドッグ
黒く丸い見た目はシックだが、ひと口かじると中から現れるのは
五島の天然クエをペースト状にしたもの。
しっとりした食感の中に、魚の旨みが静かに広がる。
ここに合わせるフルーツは オレンジ。
外観の重さとは対照的に、香りの第一印象が軽く跳ね、
魚の旨みを硬く閉じ込めずにほどく役割を果たしていた。

車海老とアボカドのタルトレット
小さなタルト生地に、車海老とアボカドを重ね、
上には花びらが散るように彩りが添えられている。
タルトの香ばしさに合わせて使われているのは ライム。
海老の甘さを立たせつつ、アボカドのまろやかさに輪郭を与えて、
ひと口の中で温度と香りの流れが綺麗に整う。

根セロリのムース
白い器にすくわれるのは、ふんわりとした 根セロリのムース。
中には、揚げた根セロリ、生ハム、雲丹が忍ばせてあり、
それらを包むのは野菜出汁だけでとった透明感のあるゼリー。
ここでは ゴールデンキウイがアクセントとして効く。
キウイのやわらかな酸が入ることで、
根セロリの土っぽい甘さ、生ハムの塩気、雲丹の濃度が一つにまとまり、
皿としての方向がすっと一本に収束する。
三皿に共通しているのは、フルーツが主張しすぎず、
香りと酸の“方向”だけをそっと整えていること。
濵野シェフが語る「フルーツで味わいをつなぐ」というコンセプトが、
この最初のアミューズではっきりと伝わってきた。

【Ma spécialité:シェフスペシャリテ】
ガラスドームの中に煙がたゆたう演出から始まるこの皿は、
濵野シェフの“今の料理”を象徴するような、香りのレイヤーと食感の積み重ねが印象的だった。
ドームが外されると、華やかな花弁に覆われた一皿が姿を現す。
中央には シロキャビア、その上から金箔とレモンソース。
さらに フィンガーライムの果肉が散らされ、キャビアの塩味に細やかな酸が重なっていく。
花の下には、なめらかな かぼちゃのムース。
そして最も下層には、
ズワイガニと白菜を蒸し煮にしたものが静かに敷かれていて、
香りの華やかさと海の旨みをしっかり支えている。
周囲を囲むのは薄くスライスした ズッキーニ。
その優しい食感が、皿全体の輪郭をそっと整えていた。

この皿に合わせて提供されるのが、
自家製ワッフルのスモーク。
目の前でジャックダニエルの樽チップを燻し、
立ち上がる甘い煙がワッフルにうっすらと移る。

キャビアとムースをワッフルに軽くのせて食べると、
スモークのニュアンスが一瞬だけ香り、
塩味・酸味・甘みがひとかたまりになって消えていく。
香りのレイヤー、温度の変化、花弁の軽さ、海の旨み。
どれかが主張しすぎることなく、
“スペシャリテ”としての説得力がこの皿にはあった。

【Les couleurs de l’amour:パイナップル × オマール × サーモン】
透明のガラス皿に水滴のような意匠が散り、
その上に置かれた色彩のコントラストがとても鮮やかだった。
名前の通り「色」で語る皿だが、構成自体はきわめて理性的で、
味の流れがきちんと一本通っている。
ブルターニュ産オマールと宮崎・西米良サーモンのタルタル
主役は、オマール海老と西米良サーモンを刻み、
香味野菜と合わせてタルタルにした棒状のパーツ。
旨みはしっかりしているが、脂の重さはなく、
“海”と“川”が自然に混ざり合うような味のまとまりがある。
パイナップルのジュレと花弁で巻いた外側
タルタルは パイナップルのジュレのシートで包まれ、
その外側に花びらが散らされている。
香りの第一印象をフルーツが軽く跳ねさせ、
そのあとからオマールの濃度がすっと立ち上がる構成。
パイナップル風味の生クリームとクスクス
隣に添えられる パイナップル風味の生クリームは、
タルタルの食感と香りを丸くつなぐ役割。
クスクスの細かな粒感が、皿全体のリズムを軽くしていた。
3種のソース
- 赤:ビーツ
- 緑:ブロッコリー
- 白:カブ
色だけではなく、それぞれに“淡さ”と“香りの方向”があり、
パイナップルの酸、タルタルの旨みを
どの方向に引き寄せるかを選べるような設計になっている。
見た瞬間に「美しさ」と「可愛さ」が同時に立ち上がる皿だった。
色の重ね方は繊細なのに、どこか遊び心があって、
花びらやジュレの揺らぎが、料理というより小さなアートピースのように感じられる。
ビジュアルの華やかさに引っ張られず、
味の構成がきちんと通っているところが印象的で、
見て惹かれ、食べて納得する一皿。


【Éclat d’automne:フォアグラと里芋の温かい前菜】
秋らしい柔らかな香りと、深いコクが立ち上がる一皿。
皿の中心には、こんがりと焼き目をつけた フォアグラ。
その下に敷かれているのは、天草産ホロホロ鳥の旨みを移した
温かいクリームソースと、なめらかな 里芋のピューレ。

フォアグラの濃厚さだけで完結させず、
里芋の甘さとクリームの軽い旨みでバランスをとっている構成。
里芋は ホワイトポートで煮たものも使われていて、
ほのかな甘みと香りが皿の奥行きをつくっていた。
アクセントには、福岡産の イチジクの赤ワイン煮。
果実の柔らかい酸と深い甘さが、フォアグラのコクと自然に寄り添う。
さらに イチジクの葉のオイルが一滴入ることで、
香りの輪郭がすっと整い、皿全体が落ち着いたトーンにまとまる。
重さを感じさせないフォアグラの前菜。
素材の相性をそのまま描くのではなく、
温度と香りのレイヤーで“秋”を組み立てたような印象の一皿だった。

【Brise de mer:五島ヒラスズキとキャベツ、海風のニュアンス】
五島の海らしい清らかな香りが立ち上がる一皿。
ヒラスズキは皮目が香ばしく、身はしっとりと火が入り、
噛んだ瞬間のふくらみがとても柔らかい。
魚の下には、旨みを穏やかに受け止める キャベツのピューレ。
その上に重ねるように、キャベツのマリネと
糸島のハーブがふわりと置かれている。
素材の甘みと香りをレイヤーで積み重ねる構成。
ソースは二本立て。
- アメリケーヌソース(エビ・カニの殻の香ばしさを引き出した深い旨み)
- ブールブラン/バターソース(乳脂の柔らかさで余韻を丸くする)
二つのソースが混ざり合うポイントで味の濃淡が変わり、
ヒラスズキの繊細な脂を引き立てていた。
皿の端に添えられた カボスのペーストは、
香りを引き締めるための小さな輪郭線のような存在。
ひと口に少し混ぜるだけで、
海とバターの重なりがすっと軽くなる。
静かだけれど、海の香りと余白がしっかり感じられる魚料理だった。

自家製ブリオッシュ
魚料理に合わせて供される自家製のブリオッシュは、
軽い甘みとバターの香りがふわっと立ち上がるタイプ。
しっとりと柔らかい生地で、
アメリケーヌやブールブランの余韻をやさしく受け止めるように設計されていて、
ヒラスズキの皿が持つ“海と乳脂のバランス”をそのまま繋ぐような役割を果たしていた。
バターを足しすぎず、そのままでも成立する。
魚の旨みとソースの香りに寄り添うための一切れだった。

口直し:グレープフルーツのグラニテとレモンタイムのエスプーマ
温かい皿の余韻をすっと切り替える、小さな清涼感の一品。
器の底には グレープフルーツのグラニテが入り、
果実ならではのほろ苦さと酸が、舌を一度フラットに戻してくれる。
その上にふわりと重なるのは、
レモンタイムで香りづけしたエスプーマ。
強すぎないハーブの香りが、柑橘の苦味に軽さを与え、
アロマの余韻だけを静かに残していく。
甘さで整えるタイプではなく、
“香りと温度で気持ちを切り替える”口直し。
次の皿へ向けて、感覚がすっと整う一杯だった。

【Terroir:ロワールの小鳩 ― 火入れと香りの余韻】

【肉料理に合わせる“酸味のあるパン”】

デザート & フィナーレ
シャインマスカット × メレンゲ × 柑橘のジュレ

ホワイトチョコレートのローム仕立て── 温かいパッションフルーツで花開く、劇的なフィナーレ
真っ白な球体に、秋色の葉を散らした可憐なデセール。
フォークを入れたい気持ちをぐっとこらえ、
仕上げに温かい パッションフルーツのソース がそっと注がれると、
ホワイトチョコレートの殻がじんわり溶け、
中から鮮やかな世界がふわりと姿を見せる。
中に隠れているのは──
- フロマージュブランのムース(軽やかな酸味)
- 洋梨のコンポート(やわらかな甘み)
- ラズベリー(きゅっとした酸味)
- 牛乳のアイス(やさしいコク)
- アーモンドのクランブル(香ばしい食感)
温かいソース、冷たいアイス、白い殻のとろける甘さ。
温度と香り、甘味と酸味、食感が一度に広がる、
まさに “最後の一皿にふさわしい” 仕掛けのデザートでした。

小菓子:食後をやさしく締めくくる3つのひと口
食後の余韻にそっと寄り添う、小さな宝石のようなミニャルディーズ。
◆ どんぐりの形をした栗とカシスのショコラ
ころんと可愛い “どんぐり” を模したショコラ。
栗のまろやかさとカシスの酸味が溶け合い、
一粒でもしっかりと季節を感じる味わい。
◆ フランボワーズのミニロールケーキ
ふんわり生地にフランボワーズの甘酸っぱさを巻き込んだ小さなロールケーキ。
ひと口で華やぐ、軽やかなアクセント。
◆ マンゴーのパート・ド・フリュイ
マンゴーの香りをぎゅっと閉じ込めたゼリーに、
サブレのような生地を合わせて仕立てたもの。
果実の濃さが心地よく広がる爽やかな締め。

まとめと感想
ひと皿ごとにテーマが明確で、香り・色彩・温度の重なり方がとても丁寧。
アミューズからデザートまで一直線に繋がる物語性があり、
“視覚の楽しさ” と “味わいの必然性” が両立しているのが印象的だった。
フランスで切り開いた “すべての料理にフルーツを効果的に組み合わせるスタイル” は、
この日本の新しい舞台でも自然に息づいていて、
香りの方向づけや酸の重ね方など、コース全体の流れをつくる芯としてしっかり機能していた。
宮崎・五島・糸島など九州の素材を軸にしながら、
フレンチの技法で軽やかに仕上げるアプローチは、
重たさがなく最後までテンションが落ちない。
特に、
・シェフスペシャリテのキャビア×ワッフル
・ヒラスズキの2種ソース
・小鳩とサルミソースのメイン
このあたりは香りのレイヤーが繊細で、構成の妙がはっきり伝わってきた。
デザートの展開も多彩で、
瑞々しさ・遊び心・温度のコントラストがバランスよく、
食後の小菓子まで一貫して“きちんと気持ちを上げて終わらせてくれる”流れ。
美しさを求めながらも味わいが伴っていて、
細部の仕掛けに至るまで、シェフの世界を丁寧に体験できる時間だった。

予約とアクセス情報
予約方法
「L’Unique labo」は完全予約制のフレンチレストランで、予約は電話ではなくオンライン予約システム「TableCheck」を通じて行うのが基本です。公式サイト(lunique-labo.jp)内の予約導線から、あるいはTableCheckの店舗ページ(tablecheck.com/ja/lunique-labo)へ直接アクセスし、来店希望日・時間・人数を選択して予約する形式になっています。
電話番号(080-4378-1573)も公開されているため、オンライン予約が難しい場合や当日の空き状況確認などは電話での問い合わせも可能と思われます。わずか8席のカウンターのみという限られた席数のため、特に人気の時間帯は早めの予約が安心です。
コースは全11皿の「Menu L’Unique」(27,500円、税込・サービス料別)のみですが、2025年9月からは土曜ランチ限定で「Menu L’Esprit」(16,500円、税込・サービス料別)という短縮版のコースも用意されています。
アクセス情報
「L’Unique labo」は福岡市中央区春吉3丁目13-1、日本初のデザインホテルとして知られる「ホテル イル・パラッツォ」の敷地内に位置しています。かつてホテルに併設されていたチャペルをリノベーションした建物で、ホテル本館とは別棟の独立した空間になっています。
最寄駅は地下鉄七隈線「天神南駅」で、駅から徒歩約6〜7分(約500m)の距離です。ほかに地下鉄空港線「中洲川端駅」からもアクセス可能で、天神・博多エリアの中心部からも歩いて向かいやすい立地です。専用駐車場の有無については公式サイトでの確認をおすすめします。
営業時間
営業時間はランチが12:00〜13:30ラストオーダー、ディナーが18:00〜19:30ラストオーダーです。開始時刻を固定せず、ゲストのペースに合わせてゆったりと進行するスタイルが特徴で、気づけば3時間ほどが経過しているという声も多いようです。
定休日は不定休となっており、営業日や予約可能日は公式サイトまたはTableCheckの予約ページで随時確認する必要があります。
わずか8席のカウンター、シェフが目の前で仕上げる料理、そして舞台のように設計された空間——その一体感をじっくり味わってもらうための、この店ならではの営業スタイルと言えそうです。
L’Unique labo(リュニック・ラボ) ご利用案内
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 福岡県福岡市中央区春吉3丁目13-1(ホテル イル・パラッツォ敷地内) |
| 最寄駅 | 地下鉄七隈線「天神南駅」徒歩約6〜7分(約500m)/地下鉄空港線「中洲川端駅」 |
| 電話番号 | 080-4378-1573 |
| 営業時間 | ランチ 12:00〜13:30 L.O. /ディナー 18:00〜19:30 L.O. |
| 営業形態 | 完全予約制・カウンター8席のみ |
| 定休日 | 不定休(営業日は公式サイト・TableCheckで都度確認) |
| 予約方法 | オンライン予約:tablecheck.com/ja/lunique-labo(電話予約も可) |
| メニュー | Menu L’Unique(全11皿)27,500円/Menu L’Esprit(土曜ランチ限定)16,500円 ※いずれも税込・サービス料別 |
| 公式サイト | lunique-labo.jp |
| 公式Instagram | instagram.com/lunique_labo |
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