BISHOKU QUEST

旅先で出会った、心に残るひと皿を

『BISHOKU QUEST』は、日本各地の美食を求めて旅をするグルメブログです。
シェフのこだわりや地元食材の魅力、料理の背景にある物語を、写真と共に丁寧に綴ります。

うきは 道の駅に泊まる、果実の里の美食旅 プロローグ

耳納連山の緑と、筑後川がもたらす豊かな土壌。
桃に葡萄、梨に柿──季節ごとに旬の実りがあふれる「フルーツ王国」うきは。

福岡市内から車でわずか1時間ほど。
それなのに、この町には都市とはまったく違う時間が流れています。
白壁の町並みに残る商人の町の面影、山の斜面に連なる朱の鳥居、
そして、土地の素材に真摯に向き合う料理人たちの仕事。

今回の旅は、夏のはじまりに妻とふたりで出かけた1泊2日。
道の駅に隣接するホテルを拠点に、うきはの「食」と「景色」をめぐってきました。

近いからこそ、ゆっくりと。
まずは、車を走らせるところから始めていきます。

DAY1|福岡市内から車で、道の駅うきはへ

夏の日差しが強まりはじめた7月。
今回の旅は、妻とふたりで車を走らせるところから始まります。

福岡市内から都市高速、そして高速道路を乗り継いで、一路うきはへ。
ビル群が少しずつ遠ざかり、車窓には田園と山並みが広がっていきます。
ハンドルを握りながら、助手席の妻と今日の予定をあれこれ話す時間も、車旅ならではの楽しみ。

【写真:車窓や高速道路の風景】

高速を降りてしばらく走ると、目の前に耳納連山の緑がぐっと近づいてきます。
都市からわずか【約1時間】ほどで、こんなにも空気が変わるのか──
そんな小さな驚きとともに、最初の目的地「道の駅うきは」に到着しました。

果物の里らしく、駐車場にはすでに多くの車。
旬のフルーツを求める人たちで、朝から活気にあふれています。
ここでまずは腹ごしらえ。向かったのは、道の駅の向かいにある一軒のハンバーガーショップでした。

道の駅の向かい、「Deli☆Boy BROS. HAMBURGER」へ

道の駅うきはの駐車場から、通りを挟んだ向かい側に目をやると、
瓦屋根の家屋の前に、白地に黒文字で「HAMBURGERS」と大きく掲げられた看板が。

背後には耳納連山の深い緑。
日本の田舎の風景のなかに、ふいにアメリカのロードサイドが現れたような──
そんな不思議な取り合わせに、思わず足が止まります。

木の扉のガラスには、金色の手描き文字で店名が。
扉を開ける前から、細部にまで店主のこだわりが行き届いていることが伝わってきます。

店内に入ると、ターコイズブルーの板張りの壁に、裸電球のやわらかな灯り。
カウンター越しのオープンキッチンでは、店主がテンポよくパティを焼き上げていきます。

店主は、東京・人形町に本店を構える人気店「BROZERS’」で修行を積んだ方。
平日のお昼でも満席になるほどの人気ぶりで、この日も店内はにぎわっていました。

この日いただいたのは、ベーコンチーズバーガーに、目玉焼き(egg)をトッピング。

自家製ベーコンに自家製のBBQソース、
そしてバンズは、地元のベーカリー「ぱんのもっか」に特注したもの。
とろりと溶けたチーズの上に目玉焼きが重なり、見た目からして迫力満点の一品です。

両手でしっかりと持ってかぶりつくと、
香ばしく焼かれたパティの肉汁に、燻香をまとった厚切りベーコンの旨み。
そこへ黄身のまろやかなコクがじんわりと広がり、BBQソースの甘酸っぱさが全体をきゅっとまとめてくれます。
ふんわりとしながらも、具材の重みにしっかりと負けないバンズも見事でした。

あまりの厚みに、口を大きく開けすぎないようご注意を(笑)

お供には、ご当地の炭酸ドリンク「イシイサイダー」がおすすめ。
やっぱりハンバーガーには、しゅわっと弾ける一杯がよく似合います。

うきはの地元の味と、本場仕込みのアメリカンスタイルが出会う一軒。
旅の最初の一食から、記憶に残るスタートとなりました。

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Deli☆Boy BROS. HAMBURGER
ADDRESS

福岡県うきは市浮羽町山北1758-21

OPEN

要確認。2023年の情報では、【火曜】11:00〜15:00 【水曜~土曜】11:00~20:00 【日曜】11:00~18:00、定休日は月曜です。

COMMENT
駐車場あり。道の駅うきはの向かいにあります。
※2026年10月25日閉店予定

道の駅うきはで、旬の恵みをおみやげに

お腹が満たされたあとは、通りを渡って再び道の駅うきはへ。
店内には、うきはの果物や加工品、地元の惣菜がずらりと並び、見ているだけでも心が弾みます。

この日手に取ったのは、「吉野鶏めし」と、うきは産の柿を使った甘酒「濃ゆか」。
どちらも、ホテルの部屋でゆっくり味わうためのささやかなお楽しみです。

今宵の宿は「フェアフィールド・バイ・マリオット・福岡うきは」

道の駅のすぐ隣。
今回の宿泊先は、「フェアフィールド・バイ・マリオット・福岡うきは」です。

全国の道の駅に隣接して建ち、地域の魅力を満喫するための“旅の拠点”をコンセプトにしたフェアフィールドのシリーズ。
館内にあえてレストランを持たず、食事は町のお店で楽しんでもらう──
そんな、土地とともにある滞在のかたちを提案しています。

ここ福岡うきはでは、開放的なテラスの横から道の駅へ直接行き来でき、
生産者さんと同じ早朝の時間から、吉野鶏めしや搾りたての牛乳など、土地ならではの味に出会えるのも魅力。
実はすっかり、このシリーズにハマっています(笑)

白とグレーを基調にしたすっきりとした外観に、植栽の緑と赤い葉の木々がやさしく寄り添います。

エントランスを抜けると、木の温もりに包まれたラウンジが。
ラタンのペンダントライトがやわらかな影を落とし、大きな窓の向こうにはテラスと庭の緑。
チェックインの手続きを待つ時間さえ、心がほどけていくような空間です。

客室に入ってまず目を奪われたのは、正面の大きな窓。
その向こうには、ネットに覆われた果樹園と、なだらかに連なる耳納連山。
まるで一枚の絵のように、うきはの風景がそのまま切り取られています。

窓辺には、ブルーのクッションを敷いたベンチソファ。
壁には墨の筆致が力強いアートが掛けられ、シンプルながらも土地の美意識を感じさせる設えです。

妻もさっそく窓辺に立ち、しばし外の景色に見入っていました。

ひと息ついたところで、道の駅で買ってきたお楽しみを。

「吉野鶏めし」は、大分の郷土の味として親しまれてきた炊き込みご飯。
鶏の旨みとごぼうの香りがご飯にしっかりと染み込み、素朴ながらもあとを引く味わいです。

うきは産の柿を使った甘酒「濃ゆか」は、とろりとした口あたりに、柿のやさしい甘み。
冷えた一本が、夏の車旅でほてった体にじんわりと染みわたります。

窓の外の緑を眺めながら、旅の土地の味をいただく。
ひと休みしたあとは、夕暮れ前の散歩へ。

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フェアフィールド・バイ・マリオット・福岡うきは
ADDRESS

福岡県うきは市浮羽町山北734番地6

OPEN

チェックイン15:00、チェックアウト11:00

COMMENT
2023年8月31日開業。館内にレストランなし。完全キャッシュレス(現金不可)。杷木ICから車で約10分。

夕暮れ前の道の駅うきはを散策

ディナーまでの時間を使って、もう一度道の駅うきはへ。
昼間のにぎわいが少し落ち着き、ゆったりとした空気が流れはじめる時間帯です。

見上げれば、厚い雲の切れ間から差し込む光。
青いネットに守られた果樹園の向こうに、山並みが静かに横たわっています。

道の駅の奥にある展望デッキに上がると、目の前に一気に視界がひらけました。

眼下に広がるのは、どこまでも続く筑後平野の田畑と、点在する家並み。
その奥には山々が連なり、刻々と表情を変える雲が空を流れていきます。
木のベンチに腰掛けて、しばらく何も話さずに眺めていたくなる──そんな景色です。

デッキの一角には、うきは市の公式キャラクター「うきぴー」が描かれた「うきは市標高ポイント」の看板が。
フルーツ王国・うきはで採れる柿の妖精だそうで、頭のヘタと、柿色のまんまるな顔がなんとも愛らしい。

看板によると、道の駅うきはの標高は75m、JRうきは駅からは約3km。
うきはは標高差に富んだ地形が魅力の町で、その景観を守り伝えるために立てられたものだそうです。
ここからの眺めの広さにも、思わず納得。

さらにデッキには、果物のキャラクターが描かれた顔出しパネルと、なんとゴジラの姿も。
うきは市には、ゴジラのモニュメントが町のあちこちにあるそうで、ちょっとした名物になっているのだとか。
足元には「こわれやすいので さわらないでね!」の手書きの貼り紙が添えられていて、
迫力ある姿とのギャップに、思わず笑みがこぼれます(笑)

雲間からこぼれる夕方の光に照らされた平野を眺めながら、
少しずつ、夜のディナーへの期待が高まっていきます。

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道の駅うきは
ADDRESS

福岡県うきは市浮羽町山北729-2

OPEN

9:00~18:00
crossroadfukuoka
定休日:第2火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始 ※7~9月は無休

AWARD

九州じゃらん2024年 みんなが好きな道の駅 No.1

COMMENT
駐車場320台。大分自動車道「杷木IC」から約10分

ディナーは古民家の一軒「MAHORO756 CUISINE DE MAKOTO」へ

夕暮れの道の駅をあとにし、【移動手段・所要時間】で向かったのは、うきは市浮羽町。
この夜の目的地は、「MAHORO756 CUISINE DE MAKOTO」です。

お店があるのは、築65年を超える古民家を改装した複合施設「FLATFORM UKIHA」の中。
焼杉の外壁に、瓦屋根の庇。傍らには青々とした木が枝を広げ、
この町で長く時を重ねてきた建物が、静かに新しい息吹をまとっています。

入口の脇には、裸電球のやわらかな灯りに照らされた「MAHORO」の文字。
ツタの緑と木の質感が重なり合う佇まいに、これから始まる時間への期待が自然と高まります。

腕を振るうのは、井上誠シェフ。
東京で5年、フランス・パリや南フランスで10年の修行を重ね、
現地では日本酒レストランを立ち上げた経歴を持つ方です。
日本酒の専門資格「酒匠」も持ち、料理とお酒の両方に深く通じています。
西鉄の観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の料理監修も手掛けるなど、筑後の食の魅力を発信し続けています。

店名の「756」は、お店の番地から。
和モダンな空間でいただくのは、四季折々の地元・うきはの野菜や厳選素材を活かした、和とフレンチが融合したおまかせコースです。

フルーツ王国らしい幕開けから、川と海の恵みへ

コースの始まりは、芋茎(ずいき)のスープ。
夏の野菜のやさしい味わいが、ゆっくりと胃を目覚めさせてくれます。

続いて登場したのは、シャインマスカットの白和え。
みずみずしい果実の甘みと、豆腐のまろやかなコク。
フルーツ王国・うきはならではの一皿に、思わず顔がほころびます。

カワハギは、その繊細な味わいを残しながら、土佐酢のジュレと雲丹を合わせて。
酸味と甘み、磯の香りが重なり合い、和の技とフレンチの感性が自然に溶け合います。

夏の主役ともいえる鮎は、フリットに。
そこへフォアグラと肝のソースを合わせるという、なんとも大胆な組み合わせ。
鮎のほろ苦さとフォアグラの濃厚さが響き合う、印象的なひと皿でした。

どの皿にも丁寧な手仕事が感じられ、繊細でありながら、
不思議とお酒が欲しくなるような味わいが特徴的です。

スペシャリテの豚足グラタンと、うきはの吟醸豚

なかでも特に素晴らしかったのが、スペシャリテの豚足グラタン。
ビジュアルも含めて、とても印象に残るひと皿です。

そしてメインは、うきはの「リバーワイルド」さんの吟醸豚の肩ロース。
美しい色合いと断面に、まず目を奪われます。
ナイフを入れると、きめ細やかで繊細な肉質。
地元で育まれた豚の旨みを、素直に味わえる一皿でした。

赤酢を添えた鶏そぼろご飯と、抹茶のテリーヌで締めくくり

締めのご飯は、赤酢を添えた鶏そぼろ。
一般的な〆のご飯に比べてさっぱりといただけて、なんとも新鮮な印象でした。

デザートは、抹茶のテリーヌ。
抹茶のほろ苦さと濃厚さが、コースの最後を静かに締めくくってくれます。

うきはの川と山、そして果実の恵み。
その土地の素材を、和とフレンチの技でひと皿ずつ表現した、心に残るディナーでした。
酒匠でもあるシェフの料理は、どれも不思議とお酒が欲しくなる味わい。
この日はお酒をいただかなかったので、次回はぜひ、シェフ厳選の日本酒とのペアリングで楽しみたいと思います。

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MAHORO756 CUISINE DE MAKOTO
ADDRESS

住所:福岡県うきは市浮羽町浮羽756(FLATFORM UKIHA内)

OPEN

17:30〜22:00 (LO.21:15) 定休日 日曜(不定休あり)、完全予約制

COMMENT
シェフは唎酒師の上位資格「酒匠」を有するスペシャリスト

一日の締めくくりは、筑後川温泉「清乃屋」でひとっ風呂

MAHOROでの余韻を胸に、ホテルへ戻る前に立ち寄ったのは、筑後川温泉の「清乃屋」。
筑後川のほとりに佇む温泉旅館で、日帰り入浴も受け付けています。

夜の闇に、青白く浮かび上がる「清乃屋」の文字。
静まり返った駐車場に、館内からこぼれる灯りがやさしく広がります。

自慢は、自家源泉かけ流しのアルカリ性のお湯。
湯船に身を沈めると、とろりとした肌ざわりがじんわりと体を包み込み、
湯上がりには、肌がつるりとなめらかに。
車の運転と、一日中歩き回った疲れが、ゆっくりとほどけていきます。

美味しいものを食べて、景色を眺めて、温泉で温まる。
うきはの夏の一日を、これ以上ないかたちで締めくくることができました。

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筑後川温泉 清乃屋
ADDRESS

福岡県うきは市浮羽町古川1099-3

OPEN

立ち寄り湯入浴時間  ――
10:00~21:00(家族湯:10:00~14:00 ※事前予約は承っておりません)

湯上がりの火照りを夜風で冷ましながら、ホテルへ。
こうして、うきは旅の一日目は穏やかに幕を閉じました。

DAY2|朝日に起こされて、道の駅で調達する朝ごはん

二日目の朝は、カーテンの隙間から差し込む強い日差しで目が覚めました。
ホテルの周りは果樹園と田んぼが広がるばかりで、日差しを遮る高い建物はひとつもありません。
そのぶん、夏の朝の光が、まっすぐに部屋いっぱいに飛び込んできます。

少し眩しすぎるくらいの目覚めも、
都会ではなかなか味わえない、うきはならではの朝の贈り物です。

テラスを抜けて、朝の道の駅へ

朝ごはんは、もちろん道の駅うきはで調達。
ホテルのテラスを抜ければ、道の駅はもう目の前です。

ウッドデッキにテーブルと椅子が並ぶテラスは、植栽の緑に囲まれた気持ちのいい空間。
朝の澄んだ空気のなか、ここでゆっくり過ごすのもよさそうです。

案内図を見ると、ホテルと道の駅がひと続きになっていることがよくわかります。
生産者さんが朝採れの野菜や果物を運び込む時間から、宿泊客も同じように出入りできる──
まさに“道の駅に泊まる”感覚です。

かしわ飯のおにぎりと、しぼりたて牛乳の朝ごはん

この朝選んだのは、地元の方が作るかしわ飯のおにぎりセット。
かしわ飯のおにぎりが3つに、唐揚げとたくあんが添えられて、なんと340円。

鶏の旨みが染み込んだ甘辛いご飯に、香ばしい唐揚げ。
どこか懐かしく、ほっとする味わいに、朝から箸が止まりません。

さらにもうひとつ、気になって手に取ったのが「うなむすび」。
香ばしく焼かれたうなぎが、ご飯と一緒にぎゅっと結ばれた贅沢なおむすびです。

そして朝ごはんのお供には、しぼりたての牛乳を。
1953年創業の「松野牧場」が手掛ける、ノンホモジナイズの低温殺菌牛乳です。
ごくごくと飲めるすっきりとした口あたりのなかに、牛乳本来の自然な甘みとコクが広がります。

朝の光に包まれた部屋で、土地の味をいただく朝ごはん。
派手さはないけれど、これこそが道の駅に泊まる醍醐味だと感じた、贅沢なひとときでした。

ランチを求めて吉井へ、車窓に広がる白壁の町並み

朝ごはんを終えてチェックアウトしたあとは、ランチを求めて車でうきは市吉井町へ。

しばらく走ると、車窓の景色がふいに変わりはじめます。
通り沿いにずらりと並ぶのは、白い漆喰の壁と重厚な瓦屋根の家々。
「白壁の町並み」として親しまれる、筑後吉井の伝統的建造物群保存地区です。

夏の青空にもくもくと湧き上がる入道雲の下、
なまこ壁や格子戸、軒先に吊るされた鉢植えの花が、ゆっくりと窓の外を流れていきます。

かつて宿場町・商人の町として栄えたこの地は、たびたびの大火を経て、
燃えにくい白壁の土蔵造りの家並みが整えられていったといわれています。
暮らしの気配がそのまま残る町並みは、車窓から眺めるだけでも、時間がゆっくりと流れていくようです。

ランチは白壁の町に佇む麻婆豆腐専門店「まぁぼや」へ

そんな白壁の町並みの一角にお店を構えるのが、この日のランチの目的地、麻婆豆腐専門店「まぁぼや」です。

深い緑色の外壁に、赤と白のストライプのオーニング。
どこかヨーロッパの街角を思わせるクラシカルな佇まいが、白壁の町のなかでひときわ目を引きます。

平日のお昼にもかかわらず、店の前にはすでに順番を待つ人の姿が。
この日は約40分ほど待って、ようやく入店となりました。

席に着くと、トレーに敷かれたランチョンマットに店長さんからのメッセージが。
吉井で生まれ育ち、東京の名店「四川飯店」で四川料理を学んだという店長の松尾さん。
麻婆豆腐を日本に広めた陳建民さんの味の系譜を、ふるさと吉井で受け継いでいるのです。

この日いただいたのは、看板の麻婆豆腐と担々麺。

麻婆豆腐は、辛さを抑えた食べやすさがポイント。
豆板醤や花椒の香りはしっかりと立ちながらも、旨みとコクが前に出る、やさしい一皿です。
辛いものが得意でない方にも、麻婆豆腐入門にぴったりのお店だと感じました。

担々麺は、ごまの香ばしさとコクがたっぷり。
こちらも辛さは控えめで、最後まで心地よくいただけます。

40分待っても食べたくなる理由が、ひと口ごとに伝わってくる──
白壁の町に根づく、地元に愛される名店でした。

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まぁぼや
ADDRESS

福岡県うきは市吉井町1349-1

OPEN

平日11:00~15:00 定休日 土日祝、不定休

AWARD

食べログ 中国料理 WEST 百名店 2023 選出店

COMMENT
駐車場:有(2台)※近隣共同Pあり。予約不可。

朱の鳥居が連なる「浮羽稲荷神社」へ

お腹を満たしたあとは、車で少し走って「浮羽稲荷神社」へ。
近づくにつれ、耳納連山の深い緑のなかに、朱色の鳥居がまっすぐ一筋に伸びているのが見えてきます。

山の斜面を縫うように連なる鳥居は、遠目にもはっとするほど鮮やか。
電線越しに見えるその姿にさえ、どこか神秘的な気配が漂います。

浮羽稲荷神社は、昭和32年(1957年)に京都・伏見稲荷大社から稲荷大明神を勧請して創建された神社。
松尾大社の大山咋神(おおやまくいのかみ)、太宰府天満宮の菅原道真公とあわせて三柱の神様が祀られ、
商売繁盛や五穀豊穣、学業成就など、さまざまなご利益があるとされています。

参道に連なる朱塗りの鳥居は、全部で91基。
【石段を下から上ったか、駐車場から参拝したか】

そして、鳥居のトンネル越しに振り返ると──

朱の鳥居の向こうに、筑後平野がいっぱいに広がっていました。
田畑と家並み、その奥に連なる山々。
昨日、道の駅の展望デッキから眺めた平野を、今度は山の上から見下ろしているのだと思うと、
この二日間で歩いてきたうきはの町が、ひとつの景色のなかでつながっていくようです。

夏の湿った風が、鳥居のあいだをゆっくりと吹き抜けていく。
しばし言葉もなく、その景色を目に焼きつけました。

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浮羽稲荷神社
ADDRESS

福岡県うきは市浮羽町流川1513-9

OPEN

終日開放(参拝自由)

COMMENT
JR「うきは」駅から徒歩約20分。駐車場は石段の200段目付近。

旅の締めくくりは、馬肉料理の専門店「馬庵 このみ」へ

浮羽稲荷神社をあとにし、うきは旅の最後の食事に選んだのは、馬肉料理の専門店「馬庵 このみ」。

夏の雲が広がる空の下、通り沿いに掲げられた「馬庵」の看板が目印。
馬刺しに馬肉のすきやき、しゃぶしゃぶ、焼肉、もつ鍋──
看板に並ぶメニューから、馬肉をとことん味わえるお店であることが伝わってきます。

アーチ型の庇が印象的なエントランスには、「直売」の文字も。
店内で味わうだけでなく、馬肉を買って帰ることもできるようです。

まずは馬刺しとユッケで、馬肉の旨みを

最初にいただいたのは、馬刺しの盛り合わせ。
深い紅色の赤身に、白く透きとおるたてがみ、美しい霜降り。
ひと皿のなかで、部位ごとの食感と味わいの違いを楽しめます。

赤身はしっとりとやわらかく、噛むほどにすっきりとした旨みがじんわり。
たてがみと一緒に口に運ぶと、ほのかな甘みとコクが加わり、味わいがぐっと深まります。

続いては、馬肉のユッケ。
ふっくらと盛られた赤身の上に、つややかな卵黄がのった、見た目にも美しいひと皿です。

卵黄を崩して絡めると、赤身の旨みにまろやかなコクが重なり、思わず箸が進みます。

桜ろーす、桜はらみ、桜上かるび──馬肉の焼肉を堪能

そしてお待ちかねの焼肉。
大皿に並ぶのは、桜ろーす、桜はらみ、桜上かるびの3種。
馬肉を「桜肉」と呼ぶことにちなんだネーミングも粋です。

網の上に並べると、炭火の熱でじゅわっと脂がはじけ、香ばしい香りが立ちのぼります。

馬肉は火を通しすぎないのがポイント。
さっと炙る程度に焼き上げると、赤身のやわらかさと、驚くほどあっさりとした脂の甘みが際立ちます。
牛肉とはまた違う、軽やかで上品な味わいに、ふたりともすっかり夢中に。

生でも焼いても、それぞれの部位の魅力をまっすぐに味わえる──
馬肉の奥深さを知る、旅の最後にふさわしいごちそうでした。

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馬庵このみ 吉井本店
ADDRESS

福岡県うきは市吉井町生葉785-2

OPEN

11:30〜21:30(L.O.21:00)/ ランチ11:30〜15:00

COMMENT
JR久大本線 筑後吉井駅より車で約5分、駐車場有り(30台)。自家牧場にて当店専用に、およそ2年の年月を掛けて肥育されたものを自社ブランド【このみ桜】として提供しています。

お腹も心も満たされたところで、うきはをあとに。
夕暮れの耳納連山を背に、車は再び高速道路へ。

行きと同じ道のはずなのに、帰り道の車窓はどこか名残惜しく、
助手席の妻と、この二日間の思い出をぽつりぽつりと話しながら、福岡への帰路につきました。

こうして、うきは旅の二日目、そして夏の小さな旅は、静かに幕を閉じました。

二日間を終えて──果実の里・うきはという町

福岡からわずか1時間ほどの場所に、こんなにも豊かな時間が流れていたのか。
それが、今回の旅を終えて最初に感じたことでした。

道の駅の展望デッキから見渡した筑後平野、
朝の強い光が差し込むホテルの窓辺、
白壁の町並みを抜ける夏の風、そして朱の鳥居越しに広がる絶景。
どの景色にも、この土地で暮らす人々の営みが静かに息づいていました。

そして、旅の軸となったのはやはり“食”。
ロードサイドのハンバーガーに、道の駅のかしわ飯とうなむすび、
四川の味を受け継ぐ麻婆豆腐、炭火で炙る馬肉。
なかでも「MAHORO756」でいただいたコースは、
うきはの川と山、果実の恵みを、和とフレンチの技でひと皿ずつ表現した、この土地でしか出会えない味でした。

華やかさと素朴さ、懐かしさと新しさ。
そのどれもが無理なく共存するうきはは、
“近いからこそ、何度でも訪れたくなる”町だと、あらためて実感しました。

次は、季節を変えて。
実りの秋の柿の頃か、あるいは桜の春か──
今度はどんなうきはに出会えるのかを楽しみに、旅を終えました。

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MIZUMACHI
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